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fig.01 亀山湖のオオマリコケムシ群体(全景) Pectinatella magnifica
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fig.02 亀山湖のオオマリコケムシ群体(近景) Pectinatella magnifica
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fig.03 亀山湖のオオマリコケムシ群体(アップ) Pectinatella magnifica
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【亀山湖のオオマリコケムシ】
オオマリコケムシ群体は、直径10cm〜1mほどの寒天状で、生体は表面に白い編み目模様が目立ちます。
原産地は北米で、1972年に河口湖で国内初確認され、千葉県内では
印旛沼(織田,1976)・
古利根沼(湖北古利根)・
雄蛇ケ池(織田,1981)・
豊英湖
等にも生息しています。
分類では、触手動物門苔虫綱や、外肛動物門ヒテンコケムシ科ともされます。
オオマリコケムシの個体は1.5mmほどですが、夏季には群体を作って急成長し、
水温の低下につれ群体は崩壊し、個体に戻り休眠します。
休眠状態の個体(休芽・スタトブラスト)が、水鳥の消化管内や釣り道具などに付着し、分布を拡大しているようです。
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掲載写真(fig.01〜03)は、
ダム管理の都合により、満水状態から数日間で1.5mの急減水をさせた、2006年09月30日の様子です。
亀山湖におけるオオマリコケムシの垂直分布は、概ね水深1〜3m付近に多いこと、及び亀山湖の水温がまだ高く
オオマリコケムシの群体維持に適していることがわかります。
「このコケムシが生息している環境は富栄養化していても水質が汚染されていないことを示唆し、そこに自然があることを
裏書きしているのである」(※01 織田,1982)とは、
1974年に和名オオマリコケムシを提唱された、織田秀実立教大学名誉教授の名言です。
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【参考記事 毎日新聞宮城版 2006年07月26日】
大崎の未確認物体:巨大な塊は、原生動物「オオマリコケムシ」の群体か? /宮城
大崎市田尻のため池で見つかった寒天質の塊は、原生動物「オオマリコケムシ」の群体の可能性が高いことがわかった。
千葉県四街道市の水産研究者、吉田義明さん(54)によると、オオマリコケムシは体長1ミリ以下で、
植物プランクトンを餌に群体をつくる。
関東では利根川水系などに見られ、大きいものは直径1メートル近い球形になるという。【小原博人】
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【参考文献】
(※01)織田秀実:(1982)「雄蛇ケ池のオジャッシー それはオオマリコケムシ」
遺伝(36-5)46-55pp. 遺伝学普及会
(※02)よしさん:(2009)「牛久沼のオオマリコケムシ(休芽・スタトブラスト)」http://wakasagi.jpn.org/
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