亀山湖・牛久沼は首都圏近郊のワカサギ釣り場をめざします

ワカサギふ化放流ノート
牛久沼のタイリクバラタナゴ
Rhodeus ocellatus of Ushiku swamp.
fig.01 牛久沼のタイリクバラタナゴ
fig.01 牛久沼のタイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus of Ushiku swamp.
【よしさんコメント】

★コイ科タナゴ属
茨城県牛久沼で、2007年06月02日(土)に漁獲された、タイリクバラタナゴです(fig.01写真参照)。

写真の個体は全長48mmの成魚(メス)で、2006年春生まれの2年魚と思われます。
中国原産の外来種で、日本へは1942年、ハクレン・ソウギョ等の種苗に混じって揚子江から入ったと推定されます。
03〜10月に、二枚貝の外套腔内でふ化し、貝内で発育した仔魚は、ふ化後15〜40日で遊泳を始め、 岸近くの浅い場所で植物プランクトンを餌とし、成魚は藻類に偏った動植物食の雑食性です。

タナゴ属は、ドブガイ・イシガイ・カラスガイ等の二枚貝を産卵床として利用します。
ドブガイ等の二枚貝は、幼生期(グロキディウム約0.3mm)にヨシノボリ等の底生魚のヒレの縁に寄生し、魚から栄養をもらって成長、別の場所 に移動し、魚から脱落するという繁殖方式です。
タナゴ属と二枚貝と底生魚、驚くべき関係ですね。

霞ケ浦では2001年を最後に、タナゴ属のゼニタナゴは絶滅した模様で、最近ゼニタナゴの復活を目論む向きもあるが、 人工繁殖させたゼニタナゴを放流するだけでは必ず失敗するだろう。
タナゴと二枚貝と底生魚、それぞれの生活史全体をカバーする、餌料を含めた自立的生息環境(生態系)を用意することは、 残念ながらほぼ絶望的であろう。
苦いので食べられず、霞ケ浦の漁師も捨てていたゼニタナゴに、有用性を認める地元の一般人は稀である。

【参考文献】
『タナゴのすべて』赤井 裕ほか(2004年09月27日2刷、エムピージェー、¥1886+税)
『原色日本淡水魚類図鑑』宮地傳三郎ほか(1981年02月01日全改訂新版6刷、保育社、¥4300)
『平成調査新霞ケ浦の魚たち』萩原富司ほか(2007年03月01日初版、霞ケ浦市民協会、¥1600)

※タイリクバラタナゴが教えてくれたこと※
★牛久沼には、タナゴの産卵床となる二枚貝が豊富であること
★牛久沼には、二枚貝が繁殖できる底生魚が豊富であること

漁獲:2007年06月02日(土)茨城県牛久沼にて 天候○ 水位満水 水色ややマッディー
発表:2007年06月06日 牛久沼漁業協同組合顧問 よしさん
転載許可:牛久沼漁業協同組合ホームページに本稿転載を許可します。よしさん。

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