亀山湖・牛久沼は首都圏近郊のワカサギ釣り場をめざします

ワカサギふ化放流ノート
某水体における、ワカサギの成長(2007年魚)その1
Growth of Japanese smelt in a certain wetlands(2007).
fig.01 ワカサギ幼魚
fig.01 ワカサギの成長(2007年魚)その1 fig.02 ワカサギ幼魚
fig.02 ワカサギの成長(2007年魚)その1
【よしさんコメント】

某水体で、2007年06月02日(土)に試験採取されたワカサギ幼魚85尾の全長は、
最小28mm〜36mm(fig.01写真参照)と、48mm〜最大52mmであった(fig.02写真参照)。

この水体では、2007年春の諏訪湖産ワカサギ受精卵は、出荷元の出荷不能につき、未放流である。
一方、別の産地からのワカサギ受精卵は、2007年04月13日に受入ている。

【考察】
上記の事実から、ワカサギ幼魚の出自を検討し、以下の数項に着目した。
○全長から、2006年春生まれの2年魚ではなく、明らかに2007年生まれである
○2007年04月受入卵の成長としては、著しく速く、既知の知見と整合しない
○成長の遅いグループ(fig.01写真)と速いグループ(fig.02写真)があるようだ

そこで、得られたグループ毎の全長を逆算し、ふ化時期、さらには産卵日の特定を試みた。

○成長の遅いグループ(fig.01写真)の平均全長を30mmとすれば、ふ化後66日(佐藤隆平1954)と推定されるが、 写真の個体は佐藤のスケッチよりも体高があり、66日よりも永い日数が経過したような印象を受ける
従って、ふ化時期は少なくとも、66日以前の2007年03月29日+αと想定される
また、この水体の03月初旬〜下旬の水温は、10.0℃〜13.0℃で、該当水温を平均12.0℃とすれば、 ワカサギ受精卵のふ化に要する日数は、初日が19日目、90%ふ化日は7日後の26日目(群馬県水試2002)となり、 90%ふ化日を基準に逆算すれば、受精日(産卵日)は概略2007年03月04日+αと絞り込める
【結論1】
上述の検討から、成長の遅いグループ(fig.01写真)は、2007年春の放流によるものではなく、 この水体で2007年03月04日+α以前に産卵され、03月29日+α頃ふ化した、自然繁殖ワカサギと判断できる。

○つぎに、成長の速いグループ(fig.02写真)も同様に検討する
成長の速いグループ(fig.02写真)平均全長を50mmとすれば、ふ化後90日(よしさん2006)と推定される
従って、ふ化時期は少なくとも、90日以前の2007年03月05日と想定される
また、この水体の01月下旬〜02月下旬の水温は、8.0℃〜8.5℃で、該当水温を平均8.0℃とすれば、 ワカサギ受精卵のふ化に要する日数は、初日が28日目、90%ふ化日は10日後の38日目(群馬県水試2002)となり、 90%ふ化日を基準に逆算すれば、受精日(産卵日)は概略2007年01月26日+αと絞り込める
【結論2】
上述の検討から、成長の速いグループ(fig.02写真)は、2007年春の放流によるものではなく、 この水体で2007年01月26日+α以前に産卵され、03月05日+α頃ふ化した、自然繁殖ワカサギと判断できる。

※85尾のワカサギが教えてくれたこと※
★この水体では、ワカサギが自然繁殖している
★ワカサギの自然産卵時期は、01月下旬頃と03月上旬頃の複数回にわたる
★この水体に、自然繁殖の2群(産卵の速い組と遅い組)と、移殖放流の合計3群が生息している

採取:2007年06月02日 某水体にて 天候○ 満水 水色ややマッディー
発表:2007年06月08日 牛久沼漁業協同組合顧問よしさん

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