【観察結果と、よしさん考察】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池です。
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雄蛇ケ池の堰堤付近の一部水域において、かなり軽度の水の華(アオコ現象 fig.04)を引き起こしている、植物プランクトンを
調査したところ、2007年08月は藍藻のアナベナ(fig.02)でした。
程度は、レベル4(水表面を膜状にうっすらとアオコが覆う)の段階で、面積は20m×10m程と、比較的に軽度です。
今後は秋季に向かい、水温が低下する方向にあることを思えば(大方のご想像通り)
アナベナ(fig.02)に起因する大規模(重篤)なアオコ現象の発生する可能性は低いものと考えられます。
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2006年08月の調査では、水の華(アオコ現象)の主たる原因は、藍藻のミクロキスティス(fig.01)で、
藍藻のアナベナ(fig.02)とオシラトリア(fig.03)は未発見でした。
オシラトリア(fig.03)は、直径56〜78μmの円盤状細胞が一列に並ぶ糸状体(全長5〜10mm)で、
細胞内の偽空胞(ガス胞)により、水面に浮遊しますから、肉眼でも存在と外形は観察できます。
また、オシラトリア(fig.03)は、有毒物質やカビ臭物質を産生し、
水温10℃と低水温でも繁殖する等、藍藻間の競合に強いことが報告されています。
『有害藻類発生湖沼の有機物,栄養塩類,生物群集の動態解析と修復効果の評価に関する研究』
国立環境研究所年報(平成13年度)
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雄蛇ケ池のプランクトン(藍藻)の優占種は、ミクロキスティス(fig.01)からアナベナ(fig.02)へと、
変遷過程にある可能性が2年間の観察から示唆されます。
さらに、前年と相違し2007年は、原因となり得る藍藻が3拍子揃って(ミクロキスティス・アナベナ・オシラトリア)おり、潜在的危機は継続しています。
3種の藍藻が揃って、水の華(アオコ現象)を引き起こした琵琶湖の事例が知られています。
『琵琶湖でのアオコの発生について(第4号) (pdf) 』
県政eしんぶん・2006年08月25日・滋賀県
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しばしば、水の華(アオコ現象)を引き起こす、3大プランクトンの、ミクロキスティス(fig.01)とアナベナ(fig.02)とオシラトリア(fig.03)が
同時に確認され、増殖に十分な高水温期であるにもかかわらず、重大な影響が見られない原因は明確ではありませんが、今夏の記録的高気温無風による
栄養の不足とも推定されます。
今後、風雨波浪により、底泥中に蓄積された栄養塩(N・P)が舞い上がり、水中に拡散すれば、藍藻は急速に大繁殖が可能です
(オシラトリアは、低水温域でミクロキスティスやアナベナを押しのけ、繁殖する点に留意)。
2006年春に放流されたソウギョによる水生植物の減少は、栄養塩の舞い上がり拡散を防止せず、むしろ拡散に加担する作用で
働くことも気がかりです。
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釣り人は、入れ代わり立ち代わり、雄蛇ケ池を見つめ(赤く、黄色く、緑や、白にもなる)水の華を発見し、原因たるプランクトンを調査し、
雄蛇ケ池フリーク共通の情報プラットホーム『雄蛇ケ池BFG掲示板』や、行政に報告することができます。
釣れた釣れないだけでなく、グローバルな視点で雄蛇ケ池の動向をワッチしましょう。
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