【亀山湖のシネドラ属】
硅藻・シネドラ属の Synedra acus は、流水域・止水域の両方で、
普通に観察される代表的な種です。
ご覧の通り(fig.01-02写真)、細胞長200μm・幅(中央部)5〜6μmと、細長い針状のケイソウです。
その形体から、昔はハリケイソウの和名で親しまれていましたが、昨今は分類体系が変更され、
ハリケイソウは Nitzschia (ニッチア)に充てられたようです。
旧ハリケイソウは、Synedra acus と学名で呼んでおきましょう。
シネドラ属 Synedra acus は、
千葉県亀山湖における今回のプランクトン定期調査で、神社下(st.j)と角柳(st.k)の双方に
大量観察されました。
しかし、前年同月のプランクトン定期調査では未確認でした。
森下郁子は『ダム湖の生態学』(※01)の「ダム湖で大発生することが予測できるプランクトン」の中で、
Synedra acus につき、「貧養塩から中養塩の水域でみられる針状珪藻である。(中略)
ろ過池をつまらせるこの珪藻が出現しているとき、水に異臭味を感じることが多い。」と述べています。
人造湖亀山湖の貯水は、君津広域水道企業団へ水道用水として供給されており(※02)、
浄水場の凝集処理・ろ過処理に負荷となり、給水区域で配水に異常を感じる可能性があるかも知れません。
季節的変動・経年変化を知り、人の生活(飲用・養魚等)に応用するために、プランクトン定期調査は重要です。
【参考文献】
(※01)『ダム湖の生態学』森下郁子(1984年09月01日、第2刷、191pp、山海堂、¥2500+税)
(※02)『千葉県のダム』千葉県土木部(1994年03月、52pp、非売品)
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