【よしさんコメント】
2008年04月25日(金)、ワカサギふ化仔魚放流地点沖に出現した動物プランクトンは、
ケンミジンコ属・ゾウミジンコ・フクロワムシ・ツボワムシ(fig.01-06)でした。
優占種はツボワムシ(変異型) Brachionus calyciflorus f.amphiceros (fig.04-06)で、
次いでフクロワムシ、他は少数派です。
2008年04月25日(金)に、ふ出したワカサギふ化仔魚の頭部(fig.07-09)を、下段に示します。
掲載した顕微鏡写真の、背景の格子線(グリッド)間隔は0.1mm(100ミクロン・μm)です。
格子線により、ワカサギふ化仔魚の口幅(両眼の間)と食道を測定すると、物理的に採餌・嚥下可能な餌料サイズは
約200〜300μm未満であることが判明します。
そこで「約200〜300μm未満」という基準で、出現したプランクトンの幅と高さを照会すれば、
ツボワムシがワカサギふ化仔魚の初期餌料に最適で、
ケンミジンコ属・ゾウミジンコ・フクロワムシは、大き過ぎて不適当と判断できます。
抱卵しているツボワムシは動きが遅いため捕捉され易く、
今回のワカサギふ化仔魚は、ツボワムシに遭遇・採餌できた可能性が高く、ワカサギ資源管理の第1歩が
確認されたと言えます。
佐藤隆平(1954)は、青森県小川原湖の事例として、ワカサギふ化仔魚の初期餌料に、
カメノコウワムシ Keratella cochlearis とハネウデワムシ Polyarthra platyptera を挙げ、
その後全長7mm以上に成長して、初めて橈脚類のノウプリウス幼生・カワリゾウミジンコ Bosmina coregoni 等を採餌する、と報告しています(※01)。
白石芳一(1961)は、諏訪湖他の事例として「ふ化後数日から10数日ころまでの間は、輪虫類でも藻類でもない、
淡黄色の胃内容物が相当見られる。これはおそらく細菌や原生生物の類で、食べられると同時に体がこわされてしまうものと
考えられる。」とした上で、体長20mmでワムシ類を主餌料とする模式的表を報告しています(※02)。
【参考文献】
(※01)佐藤隆平(1954)「ワカサギの漁業生物学」東京大学農学部水産学科、水産増殖叢書5、34pp
(※02)白石芳一(1961)「ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究」淡水区水産研究所研究報告第10巻第3号、別刷、
70pp及びTable35.
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