【結果】 雄蛇ケ池(余水吐前)における今回のプランクトン調査の、優占種はツノオビムシ(fig.13)でした。 次いで、フクロワムシ(fig.10)が多く観察され、他の種の個体数は多くありません。 ツキガタワムシ属(fig.11)とセンチュウの1種(fig.15)は、雄蛇ケ池で初観察です。 大分類すれば、ミジンコ類6種、ワムシ類4種、その他4種の合計14種で、 上段に主要な観察結果を顕微鏡写真で示します(fig.01-15)。
【考察】 ●総じて、水深の浅い灌漑用溜池の多様で平均的なプランクトン相と考えられます。 ●ツノオビムシ(fig.13)は、以前はイケツノオビムシと呼称されていた鞭毛虫で、 今回は通常の優占レベルですが、異常繁殖すれば水の華現象(黄褐色)を引起こす仲間も知られています。 ●ヒゲナガケンミジンコ・オオアタマミジンコのような、比較的に大型のミジンコ類が今回は未確認であることが、 やや気がかりです。 ●雄蛇ケ池でふ化する魚類(オオクチバス・ブルーギル・カムルチー等)の仔魚や、 成体でもプランクトン食性(雑食性)の甲殻類・貝類、さらに水生昆虫類にも、現在のところ 良好な餌料プランクトン環境です。 ●2006年春に放流されたソウギョによる水生植物の食害、特に水面と水中をおおうヒシモ・オオカナダモ・ハス等 の被植激減が、プランクトン相の変遷におよぼす影響は、今後追跡調査されるべきでしょう。
【参考文献】 よしさん(2008):「カムルチーの産卵場と浮上卵(千葉県雄蛇ケ池の事例)」http://wakasagi.jpn.org/ よしさん(2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/ よしさん(2007):「雄蛇ケ池(余水吐前)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/ よしさん(2006):「雄蛇ケ池(ボートハウスツカモト桟橋)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/ よしさん(2006):「雄蛇ケ池(余水吐前)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/ 水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900