ふ化盆の中から1枚のふ化枠を抜き取り、チカ受精卵を付着させたシュロ繊維ごと切り取り、検卵した結果を 下段に示す(fig.01-06)。 ●チカ受精卵の直径はワカサギ受精卵より大きく、1.04〜1.26mmとされる(※01)が、本サンプルでは0.9〜1.0mmと やや小ぶりであった。 ●検卵した15ケの受精卵の内、死卵は1(fig.01)、生卵は14(fig.02-06)で、いずれも成長段階の初期と判定した。 「15〜21日でふ化し(水温10〜17℃)、全長約6mmの仔魚となる」(※01)と、涸沼の推定水温(10℃未満)を踏まえ、 作業者の「捕獲した親魚量(採卵量)により、順次ふ化枠を増設しています」の話から、 本サンプルは湖面浸漬後間もないものと考察される。 ●泥が付着し(呼吸困難で)死卵となったもの(fig.01)の他、全般的に泥が付くことは湖面浸漬法の弱点である。 ●太陽光(紫外線)は受精卵に悪影響を及ぼすとの研究もあり、ふ化盆の上を黒色遮光シートでおおうと良いだろう。
【参考文献】 ※01 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981): チカ.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.103−104. ※02 よしさん(2009):「涸沼における、チカ受精卵に付着した菌類と原生動物」.http://wakasagi.jpn.org/ ※03 よしさん(2009):「涸沼(上石崎)の動物プランクトン」.http://wakasagi.jpn.org/