【方法】
茨城県涸沼で、水深1m付近の湖面に設置された、チカ(Hypomesus pretiosus)人工増殖用ふ化盆の中から1枚のふ化枠を抜き取り、
チカ受精卵を付着させたシュロ繊維ごと切り取り、検卵したところ、受精卵の表面に付着した菌類と原生動物を観察した(fig.01-04)。
【結果と考察】
●泥が多量に付着した受精卵(胚)の表面には、糸状菌の一種が繁殖している(fig.01-02)。
●ツリガネムシの一種が付着した受精卵も観察された(fig.03-04)。
●本サンプルは受精後初期段階にあるものと考えられ(※03)、チカふ出日までの相当期間に糸状菌等の
更なる大繁殖が予測され、受精卵の呼吸困難・斃死が懸念される。
ふ化盆の湖面浸漬式において、水生菌類の繁殖抑制・泥の付着抑制は事実上不可能であり、ふ化率は低レベルで一定となることから、
生残数を多くする方法は人工増殖量の増大策であろう。
【参考文献】
※01 監修・猪木正三(1981):緑毛類.原生動物図鑑 第1刷.講談社.東京,pp.729−747.
※02 盛下 勇(2004):下水処理と原生動物 初版第1刷.山海堂.東京,
※03 よしさん(2009):「涸沼における、チカ受精卵の湖面浸漬(受入初期)2009」.http://wakasagi.jpn.org/
※04 よしさん(2009):「涸沼(上石崎)の動物プランクトン」.http://wakasagi.jpn.org/
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