【亀山湖(角柳)の動物プランクトン】
千葉県亀山湖(角柳)における、今回のプランクトン調査の圧倒的優占種は、ケンミジンコ属(fig.01写真)・
ダフニア(fig.02写真)・及びゾウミジンコ(fig.03写真)でした。
その他の小型種は未確認です。
【考察】
観察したケンミジンコ属及びダフニアは、比較的大きなプランクトンで、湖水をコップに汲み、かざして見れば
肉眼でも確認できる大きさです。
一方、ワカサギ及びオオクチバス等魚類ふ化仔魚の初期餌料は、原生動物及び小型プランクトン類であることが知られ
ています。
ワカサギふ化仔魚の摂餌開始時の口径を代田(※01)は226μmとし、よしさん(※06)も
ワカサギ飼育事例で200μmを観察しています。
さらに重要な、口径と摂餌可能な天然餌料の大きさとの物理的関係について、代田(※01)は
「淡水産のワカサギは摂餌時に115〜170μの大きさの餌料を摂餌することが可能である」と述べ、
代田に従い今回のプランクトン調査結果を見ると、この時期の亀山湖(角柳)には初期餌料に好適な小型の
プランクトンが存在しない可能性が高いことが判ります。
強いて挙げるなら、ダフニア(幼生)の早期の小型個体(fig.04写真)・ケンミジンコ属(卵)が親(メス)から離れて
バラケ始めたもの(fig.07写真)は、仔魚の口に入るサイズです(背景の方眼は100μm間隔)。
しかし、数千万尾とも想定されるふ化仔魚の数との見合いから、初期餌料の不足は決定的と推定されます。
この傾向は、「プランクトン相は、03月の比較的小型の輪虫類から、04月は中型中心へと変化しています。
そこから見える含意を踏まえ、ヒト・カネ・モノ資源を合理的に投入することが、
亀山湖におけるワカサギ資源の安定供給に不可欠と考えられます。」として、既に2008年に報告したところです
(※02〜※05)。
【参考文献】
(※01)代田昭彦(1975):「若幼魚及び稚仔魚の口径と餌料」水産餌料生物学,170-187pp,恒星社厚生閣,東京
(※02)よしさん(2008):「亀山湖(角柳)の動物プランクトン」(2008年03月)http://wakasagi.jpn.org/
(※03)よしさん(2008):「亀山湖(神社下)の動物プランクトン」(2008年03月)http://wakasagi.jpn.org/
(※04)よしさん(2008):「亀山湖(角柳)の動物プランクトン」(2008年04月)http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2008):「亀山湖(神社下)の動物プランクトン」(2008年04月)http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2009):「ワカサギ仔魚の、ふ化後5日間の成長(その3)」http://wakasagi.jpn.org/
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