亀山湖・牛久沼は首都圏近郊のワカサギ釣り場をめざします

ワカサギふ化放流ノート
牛久沼のモツゴ仔魚(ふ出当日)
The prelarva stage Pseudorasbora parva of the ushiku-swamp(2009).
fig.01 産卵場付近
fig.01 産卵場付近
fig.02 産卵基質(キンラン)と産着卵
fig.02 産卵基質(キンラン)と産着卵
【状況】
茨城県内水面水産試験場より借用した産卵基質(キンラン)を、返却前に洗浄するため、 牛久沼(fig.01)に浸漬しておいたところ、2009年04月25日(土)朝、 産卵基質(キンラン)に新たな産着卵多数が認められた。

前後数日の天候と、牛久沼水温は以下の通りであった。
04月22日(水)◎○牛久沼水温18.2℃(08:00)、21.4℃(12:00)、産着卵なし
04月23日(木)○
04月24日(金)◎ 牛久沼水温16.6℃(07:50)、17.0℃(13:00)
04月25日(土)● 産着卵発見
04月28日(火)○ 牛久沼水温18.0℃(11:00)

どの魚種の卵(胚)であるか、推定の域を出なかったので、これを明らかにするため、 2009年04月28日(火)、水生菌にまみれた産着卵の一部を採取し(fig.02)、沼水と共にビーカーに入れ持ち帰った。
ビーカーを室内放置したところ、翌04月29日(水)07:00、ビーカー内(水温21.0℃)に 3尾のふ化仔魚を確認した。
ふ化仔魚の遊泳を観察後、5%ホルマリン固定し、顕微鏡撮影した(fig.03)。

fig.03 モツゴ仔魚(ふ出当日)
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fig.03 牛久沼のモツゴ仔魚(ふ出当日)click here to enlarge.

【特徴】
●仔魚全長は5.6mmである(fig.03 写真計測 背景のグリッドは0.1mm=100μm間隔)
●瞳孔は(写真では)黒いが、(目視で)虹彩は金色である
●浮袋を備えている
●黒色胞(菌糸状が目立つ)は、頭部背面・卵黄側面・浮袋背面・腹・尾と全身にある
●口はまだ開いていない
●卵黄は明確である
●仔魚を上から見るとメダカに似ており、俊敏に遊泳できる
●上記から、モツゴ仔魚と同定した

モツゴは、牛久沼漁業協同組合の第5種漁業権魚種のひとつに揚げられる重要魚種で、牛久沼における繁殖は 05月16日が確認されていた(※02・03)が、今回の観察で04月下旬の産卵とふ化が明らかになった。
産卵基質(キンラン)以外への産卵状況は、今後継続した調査が望まれる。

【参考文献】
※01 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981):
モツゴ.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.186−188.
※02 よしさん(2008):「モツゴの産卵場と産着卵(茨城県牛久沼の事例)」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報
※03 よしさん(2008):「牛久沼のモツゴ前期仔魚(ふ出翌日)」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報

採取:2009年04月28日(火)11:00 ○ 水温18.0℃ 水位YP6.11m 水色ややマッディー
撮影:2009年04月29日(水) 発表:2009年05月02日(土) 牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
転載許可: 牛久沼漁業協同組合ホームページ に本稿転載を許可します。よしさん。

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