亀山湖・牛久沼は首都圏近郊のワカサギ釣り場をめざします

ワカサギふ化放流ノート
牛久沼のオオクチバス稚魚
The juvenile stage Largemouth bass of the ushiku-swamp(2009).
fig.01 オオクチバス稚魚
fig.01 オオクチバス稚魚(ホルマリン固定)Micropterus salmoides.
fig.02 成育場所 fig.03 捕獲した水面
成育場所(fig.02)と、捕獲した水面(fig.03)
【状況】
2009年05月14日(木)は、午前中に吹き出した南風が昼前から強風になり、茨城県牛久沼のボトムに 沈んだデトリタス・プランクトン・遊泳力のない仔魚を巻き上げ、風下に押し寄せる天候であった。
水生植物帯(fig.02)の岸辺を見回ると、水面直下に浮上・定置しているオオクチバス稚魚30尾程度の群れ を確認した。
このうち3尾を捕獲し、その場で10%ホルマリン固定し持帰り、撮影した(fig.01)。
【特徴】
●稚魚は、水生植物帯の中で捕獲された(水深10〜30cm)。
●稚魚の周囲に、稚魚を守るオオクチバス成魚はいなかった。
●稚魚全長は、17〜18mmである(fig.01 写真計測 目盛は0.5mm or 1.0mm間隔)。

ふ化後4週間程度が経過したと推定される、全長17〜18mmのオオクチバス稚魚は、群れで水生植物帯の水面直下に浮上し、プランクトンを食べ、 体長「8cmのころまでは魚を食う比率は少ない」(※01)とされる。
一般に「オオクチバスは魚食性で在来魚種を食べつくす」かの如き誤まった風評や、 「オオクチバスを駆除して在来魚種を守ろう」等のスローガンが掲げられることが多いようだ。
オオクチバス仔稚魚の餌料プランクトンは、漁場に優占する在来魚種と競合すること、及び広大な水生植物帯が在来魚種を守ること等から、 牛久沼においては、近年、ワカサギ・モツゴ・エビ等在来魚種漁獲量の増加(漁協資料)が著しい反面、 オオクチバス個体数はかなり減少し、低位平衡期にあると見られる。

外来種魚類の脅威は、漁場を構成する生態系の詳細により相違し、牛久沼の嫌われものベスト3を揚げるなら、 ブルーギル(魚卵とふ化仔魚を食い、利用価値がない)・ハス(琵琶湖から移入され、資源を飽食し大繁殖、利用価値がない)・ チャンネルキャットフィッシュ(霞ケ浦から移入され、カワウに食われず繁殖し、有用魚類を食い荒らす)、というあたりか。
オオクチバス仔魚の成長については、後期仔魚(TL=5mm・ふ化後6〜7日程度)(※02)、後期仔魚(TL=7.5mm)(※03) 段階を既に報告している。

【参考文献】
※01 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981):
オオクチバス.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.320−322.
※02 よしさん(2007):「あっと驚く、亀山湖のオオクチバス仔魚」.「ザ・レイクチャンプ」ODLトーク0114 http://lake-champ.com
※03 よしさん(2008):「亀山湖のオオクチバス後期仔魚」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報 http://wakasagi.jpn.org/

採取:2009年05月14日(木)12:00 ○ 気温22℃ 水温20.6℃ 水位YP6.07m 水色ややマッディー
撮影:2009年05月15日(金) 発表:2009年05月16日(土) 牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
転載許可: 牛久沼漁業協同組合ホームページ に本稿転載を許可します。よしさん。

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