ホンモロコ(コイ科)養殖試験研究用に、茨城県内水面漁業協同組合連合会より受精卵を頂戴しました。
2009年05月22日(金)、茨城県内水面水産試験場の池で産卵基質(キンラン)に産着が
確認されたホンモロコ受精卵4枠(消毒済)及び、2009年05月28日(木)朝、産着が
確認されたホンモロコ受精卵1枠(未消毒)の合計5枠を、2009年05月28日(木)16:00、
牛久沼漁業協同組合の試験池に収容しました。
22日産着分は卵が少なく、既にふ出した可能性もあるようです。
●試験池水温 16〜18.0℃(at16:00)
●外気温 18℃(at16:00)
透視度の低い試験池での、ふ出確認の目安を得るため、
28日産着分の内の10粒を、試験池の水と共に無作為にビーカに入れ持帰り、書斎に静置し対象区としました。
●ビーカ容量 直径7.0cm×水深7.0cm
●ビーカ水温 23.6℃(at08:00)
●ばっ気装置 なし
卵は未消毒のため、29日に水生菌が発生し、30日には水生菌がタンポポの穂状態に成長しました。
しかし、水生菌繁殖抑制薬剤は使用せず、同日ビーカの水70%を(雨水を主体とするバケツ水と)入れ替え。
06月01日(月)08:00、ビーカ内にホンモロコふ化仔魚3尾を確認しました(他は死卵のため廃却)。
翌02日14:00全3尾をホルマリン5%固定、うち1尾の仔魚(fig.01・個体a)は、
全長4.80mmでした。
菌糸状の黒色胞は頭部・ノド・エラ・卵黄部にあり、ノドから肛門直前へ続く長く大きな卵黄が、特徴的です。
対象区の個体は、「05月27日(水)に設置した産卵基質(キンラン)に、
翌28日(木)朝の目視点検時には未産卵であった。
その後、同日(木)午前中に盛んに産卵していた」(茨城県内水面水産試験場増殖部)ことから、
28日(木)午前の産着と考えられ、水温23.6℃において、06月01日(月)08:00迄にふ出しました。
宮地ら(1981)は「5〜6日(水温23〜25℃)ないし12日(15℃)でふ化し、」(※01)と記述して
いますが、
本事例では、産着翌日を第1日とカウントし、第4日目の朝迄にふ化することが、明らかになりました。
【参考文献】
※01 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981):
ホンモロコ.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.174−177.
※02 よしさん(2008):「ホンモロコの発眼卵(2007)」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報.http://wakasagi.jpn.org/
※03 よしさん(2008):「ホンモロコふ出当日仔魚の頭部」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報.http://wakasagi.jpn.org/
※04 よしさん(2008):「ふ出当日のホンモロコ仔魚(2008)」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報.http://wakasagi.jpn.org/
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