【考察01】
2009年の雄蛇ケ池の水位と「見た目アオコ指標」レベルの経過は、表01の通りである(table.01 出典※07)。
2009年06月27日
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満水
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レベル5〜6
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2009年07月05日
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0.1m減水
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レベル4〜6
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2009年07月08日
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0.3m減水
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レベル3
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2009年07月11日
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0.6〜0.7m減水
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2009年07月16日
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1.0m弱減水
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2009年07月19日
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1.0m強減水
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レベル1〜2
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2009年07月23日
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1.0m減水
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レベル1〜2
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table.01 雄蛇ケ池の水位と「見た目アオコ指標」レベルの経過(2009年)
雄蛇ケ池を一周する遊歩道から良く見える、表層の水の華(アオコ現象)を、貯水の1m減水(保持)管理により、
改善しようとする方法は、表01の通り「見た目」一定の効果を上げているように見える。
しかし、「実態」は結果に示したように、一見して清澄に見えるサンプル水中にも、水の華(アオコ現象)を
引き起こす藍藻類5種が残存しており、残存量は定量的に総量の半数程度と推定される。
雄蛇ケ池においては、
2006年夏季より水の華(アオコ現象)が観察されるようになり、2007年・2008年・2009年と4年連続発生
している。
その事実は、雄蛇ケ池が、原因藍藻類の異常繁殖を可能とする量の栄養塩の継続的補給環境下にあることを暗示しており、
単に貯水の表層水を捨水管理するのは、根源的対策にほど遠い対処療法と言わざるを得ない。
さらに、「見た目」の疑似効果を目指す猿知恵には重大な副作用が懸念される。
水下の水利用は灌漑用で、水稲他の食品生産に直接関係しており、「ミクロシスチン等の毒素が肝臓がんを促進する可能性」や
「藍藻類の毒性の発現もほとんど未解明状態」というリスクを、毎年反復発生させるのは、いかがなものか。
【考察02】
雄蛇ケ池を、藍藻類の異常繁殖を可能とする量の栄養塩の継続的補給環境下に追い詰めたものは何であろうか。
●2006年早春に放流されたソウギョ
●水生植物の壊滅状態と激減
●2006年夏季より4年連続発生している水の華(アオコ現象)
これらのキーワードと、現地観察・追跡研究から見える含意は、
「ソウギョが水生植物を喰い、糞塊を連続的に雄蛇ケ池へ排出している」
「ソウギョの糞塊は、菌類・微生物により分解され、藍藻類が利用しやすい中間体に変異している」可能性である。
水面の被植減少にともなう、全層水温の一律上昇も加担していよう。
従って、雄蛇ケ池の水の華(アオコ現象)の繁殖を抑制し、沈静化させるための根源的対策は、
「遊泳式栄養塩自動製造散布生物」たるソウギョの取り揚げ・排除と、水生植物の繁殖保護が望まれる。
【謝辞】
雄蛇ケ池を観察し旬の話題を提供くださる「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」主宰つかじーさんに感謝します。
【参考文献】
(※01)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):「アオコ−その出現と毒素−」257pp,東京大学出版会,\4738
(※02)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※03)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※04)よしさん(2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2008):「雄蛇ケ池におけるアオコ現象と想定される毒性」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)つかじー(2009):「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」http://ojyagaike.naturum.ne.jp/
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