【考察01】
2009年の雄蛇ケ池の水位と「見た目アオコ指標」レベルの経過は、表01の通りである(table.01 出典※12)。
2009年07月26日
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1.1m減水
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レベル2
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2009年07月30日
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0.9m減水
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レベル4〜5
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2009年08月02日
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0.7〜0.8m減水
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レベル3〜5
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2009年08月06日
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0.6m減水
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レベル3〜6
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2009年08月08日
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0.6m減水
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レベル3
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2009年08月13日
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満水
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レベル3〜4
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2009年08月18日
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0.5〜0.6m減水
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レベル3
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2009年08月23日
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1.1m減水
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レベル3
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2009年08月27日
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1.0〜1.1m減水
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レベル3
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2009年08月30日
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1.0m減水
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2009年09月02日
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0.6〜0.7m減水
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レベル3
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2009年09月05日
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0.5m減水
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レベル3〜6
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2009年09月13日
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0.4m減水
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レベル3
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2009年09月17日
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0.3m減水
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レベル3〜5
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table.01 雄蛇ケ池の水位と「見た目アオコ指標」レベルの経過(2009年)
第1回目捨水工程の終了した07月19日〜07月26日の「見た目アオコ指標」レベルは、レベル2程度に
軽減された(※11)。
表01で、2009年08月13日の満水から、08月23日の1.1m減水迄の水位下降期が第2回目捨水工程である。
第2回目捨水工程の終了した08月23日の「見た目アオコ指標」レベルは、レベル3程度に留まり清澄感がなく、
第1回目捨水工程終了時よりも劣っていた。それはなぜか。
1.1m減水から満水に至る水位上昇期については、第1回目も第2回目も同様に、水位上昇開始後わずか4〜5日間
程度でレベル4〜5、レベル3〜6へと各々悪化した。
これらの事実は、藍藻類異常繁殖をもたらす原因を見過し、根源的対策を執らぬのみならず、ベンチスケールテストに基づく
試みの明確な根拠と成果予測、その説明もなされぬまま、あろうことか実物大の雄蛇ケ池を試験フィールドに用い、
単なる思いつきで、表層の水の華(アオコ現象)を流失させれば事足りるとした、ソウギョ放流推進派の捨水管理の
誤りを告げている。
端的に言えば、対処療法たる捨水管理で水の華(アオコ現象)の原因藍藻類の重篤化が止められぬ、当然の事例となった。
冷夏気味で日照不足の成育的逆風条件下においても、水の華(アオコ現象)を引き起こす藍藻類5種は、2ケ月後に8種へと増加出現し、
より微小な群体を形成するアナベナ スピロイデス クラッサ(fig.08)が優占種であったことの2点が、
第2回目捨水工程終了時の透視度低下の要因と考察される。
次のステップのための、試みの事後評価や公表も自力でなされぬとは、これまた、いかがなものか。
「2006〜2009年の雄蛇ケ池における藍藻類の変遷」については、別途報告したい。
【謝辞】
雄蛇ケ池を観察し旬の話題を提供くださる「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」主宰つかじーさんに感謝します。
【参考文献】
(※01)生嶋 功(1991):「水の華の発生機構とその制御」第2刷,183pp,東海大学出版会,\1648
(※02)藤田善彦・大城 香(1993):「ラン藻という生きもの」第2刷,134pp,東京大学出版会,\1648
(※03)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):「アオコ−その出現と毒素−」257pp,東京大学出版会,\4738
(※04)よしさん(1996〜2009):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※05)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2008):「雄蛇ケ池におけるアオコ現象と想定される毒性」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2008):「これがソウギョの糞塊だ(千葉県雄蛇ケ池の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2009):「雄蛇ケ池のアオコ現象、見た目と実態(2009年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)つかじー(2009):「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」http://ojyagaike.naturum.ne.jp/
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