種の状態を見ると、
ミクロキスティス エルギノーザ(fig.04)、ミクロキスティス ノバセキ(fig.05)、ミクロキスティス ベーゼンベルギー(fig.06)、
の3種は個体数が(前回調査2009年09月に比較し)減少傾向であった。
ミクロキスティス イクチオブラーベ(fig.07)の個体数は(同)横這い、
ミクロキスティス ビリディス(fig.08)は、2008年09月以来の再出現、
アナベナ フロスアクアエ(fig.09)は、不規則に曲がった糸状体の規模も大きく、
今回調査の優占種であった。
アナベナ マクロスポーラ(fig.10)の個体数は(同)横這いであったが、
糸状体が長く連続した個体が多く観察された。
国立環境研究所の提唱する「見た目アオコ現象」は池全体で1〜2レベル、塚本ボート桟橋周辺で3〜5レベルであった。
【考察01】
2009年の雄蛇ケ池の水位は、06月〜11月の期間、減水1.1m〜満水を幾度か繰り返し、
水温は、07月19日の28.6℃から、11月16日の15.8℃まで下降した(※12・13)。
しかし、水の華(アオコ現象)を引き起こす藍藻類は、07月の5種から、2ケ月後の09月に8種へと増加出現し、
11月になっても7種が観察された。
この事実は、水位と水温の変動のみが、水の華(アオコ現象)を引き起こす藍藻類の消長を制限する要素ではない
ことを明示すると共に、この2つの要素より(藍藻類の維持・繁殖にとって)優位にある(光・太陽光線以外の)
別の要素の存在を暗示している。
植物に重要な要素とは、栄養塩(N・P)に他ならず、従って、水中の窒素・燐濃度が高く維持継続されている
ことをうかがわせるに足り、他の灌漑用溜池・ダム湖における水の華(アオコ現象)の終息時期を踏まえ、
雄蛇ケ池のプランクトン藍藻類観察結果を併せ、栄養塩の起源はソウギョの排出する糞塊と考察される。
11月上旬に塚本ボート桟橋周り全体で大規模に「今まで見たことがない手のひらサイズのアメーバ?状の浮遊物が
かなり浮いていた」ことが、釣り人により報告された(※14)。
得た情報の範囲内では「湖沼に出現する藻食性アメーバ」による現象(※05)に類似(限定一部出現)と想定されるが、
よしさんはサンプル未入手で未確認のため、本稿では扱わない。
有識者の継続観察が望まれる。
【謝辞】
雄蛇ケ池を観察し旬の話題を提供くださる「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」主宰つかじーさんに感謝します。
【参考文献】
(※01)生嶋 功(1991):「水の華の発生機構とその制御」第2刷,183pp,東海大学出版会,\1648
(※02)藤田善彦・大城 香(1993):「ラン藻という生きもの」第2刷,134pp,東京大学出版会,\1648
(※03)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):「アオコ−その出現と毒素−」257pp,東京大学出版会,\4738
(※04)よしさん(1996〜2009):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※05)よしさん(2006):「水の華シロコ現象とは(亀山湖における2005年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2008):「雄蛇ケ池におけるアオコ現象と想定される毒性」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2008):「これがソウギョの糞塊だ(千葉県雄蛇ケ池の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2009):「雄蛇ケ池のアオコ現象、見た目と実態(2009年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※13)よしさん(2009):「アオコ現象の千葉県雄蛇ケ池における捨水管理と結末」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)つかじー(2009):「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」http://ojyagaike.naturum.ne.jp/