【亀山湖(F.コテージつばきもと桟橋)の動物プランクトン】
【結果】
千葉県亀山湖における、今回のプランクトン調査は、海外視察団(大韓民国春川市)到着待ち時間を利用し、
ボートを使用せず、F.コテージつばきもと桟橋でプランクトンを採取した。
検鏡の結果、04月の優占種と呼べるほど卓越した種は見られなかったものの、
ハネウデワムシ(fig.05)・ツボワムシ(fig.10)・コシブトカメノコウワムシ(fig.11-12)・テマリワムシ(fig.08-09)等、
比較的小型のワムシ類が多く観察された。
中大型のケンミジンコ属(fig.01)・ヒゲナガケンミジンコ属(fig.02)・ゾウミジンコ(fig.03)・ハリナガミジンコ(fig.04)は、
例年同時期に比し、個体数が少なかった。
合わせて、ミジンコ類4種・ワムシ類5種・原生動物1種、その他の出現を確認した。
植物プランクトンでは、シネドラ属(珪藻 fig.15)が異常繁殖し、優占種であった。
【考察】
今回のプランクトン調査結果では、比較的小型のワムシ類が多く観察され、中大型のミジンコ類は少なかった。
しかし例年04月は、上記中大型のミジンコ類の個体数が増加し、05〜06月は
オオアタマミジンコ・ノロ等、より大型の
プランクトンが出現し、前後するように比較的小型のワムシ類は減少する傾向にあり、今季04月に
小型のワムシ類が多く観察されたことは寧ろイレギュラーで原因は不明である。
ワカサギの初期餌料という視点から、今回のプランクトン調査結果を考えてみる。
亀山湖における今季ワカサギ受精卵ふ化放流状況は、
第1回受精卵受入2010年03月12日・ふ化放流日未詳
第2回受精卵受入2010年04月06日・ふ化放流日未詳
第3回受精卵受入2010年04月17日・ふ化放流日未詳、のようである。
ワカサギ仔魚の口径(※01〜02)から、初期餌料を200μm以下のプランクトンに限定すると、小さい順に、
ハネウデワムシ(fig.05)・テマリワムシ(fig.08-09)・コシブトカメノコウワムシ(fig.11-12)・ツボワムシ(fig.10)が
該当し、優良な初期餌料環境にあると思える。
従って、タイミング的に第2回ふ化放流仔魚の生残率は、高い可能性がある。
しかし場所的には、仔魚のふ化放流場所(水産センター)とプランクトン調査場所(F.コテージつばきもと桟橋)の相違から、
神奈川県丹沢湖の事例(※03)もあり、予断で喜ぶには時期尚早であろう。
植物プランクトン・シネドラ属(珪藻 fig.15)の異常繁殖は、2008年03月29日等にも亀山湖で発生し(※04)、
湖水の清澄度が低下している。
【参考文献】
(※01)代田昭彦(1975):「若幼魚及び稚仔魚の口径と餌料」水産餌料生物学,170-187pp,恒星社厚生閣,東京
(※02)よしさん(2010):「ワカサギふ化仔魚の口器及び口径観察日誌(2010)」(2010年04月)http://wakasagi.jpn.org/
(※03)よしさん(2010):「第14回ワカサギに学ぶ会参加報告」(2010年02月)http://wakasagi.jpn.org/
(※04)よしさん(2008):「亀山湖のシネドラ属」(2008年03月)http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2010):「フクロワムシを喰ったフクロワムシ」(2010年04月)http://wakasagi.jpn.org/
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