亀山湖・牛久沼は首都圏近郊のワカサギ釣り場をめざします

ワカサギふ化放流ノート
牛久沼のモツゴふ化仔魚用初期餌料調査報告(2010)
The Pseudorasbora parva initial bait charges survey in the Ushiku swamp.
茨城県牛久沼における、今季のモツゴ(クチボソ)の自然産卵は、2010年04月23日が確認されている(※02)。
牛久沼の水温等により、モツゴふ化仔魚が出現するタイミングに合わせ、 モツゴふ化仔魚用初期餌料調査を実施したので報告する。
fig.01 ゾウミジンコ
fig.01 ゾウミジンコ
Bosmina longirostris
fig.02 マルミジンコ科
fig.02 マルミジンコ科
Chydoridae
fig.03 ケンミジンコ属
fig.03 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.04 ヒゲナガケンミジンコ属
fig.04 ヒゲナガケンミジンコ属
Diaptomidae sp.
fig.05 ハネウデワムシ
fig.05 ハネウデワムシ
Polyarthra frigla
fig.06 ツボワムシ
fig.06 ツボワムシ(変異型・卵)
Brachionus calyciflorus f.anuraeiformis
fig.07 フクロワムシ
fig.07 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.08 原生動物
fig.08 原生動物
fig.09 ユーグレナ属
fig.09 ユーグレナ属
Euglena sp.
fig.10 フクロワムシ
fig.10 フクロワムシ(大型)Asplanchna priodonta
【結果】
茨城県牛久沼のレンタルボートたまや桟橋(st.ut)で、2010年05月10日に観察した動物プランクトン 中、優占種はツボワムシ(fig.06)で、抱卵個体も多く観察された。
次いで多く見られたのは、ゾウミジンコ(fig.01)とフクロワムシの小型(fig.07)であった。
原生動物(fig.08)やプランクトン界のビタミン剤とも目されるユーグレナ属(fig.09)も散見された。
大型種では、ヒゲナガケンミジンコ属(fig.04)・フクロワムシの大型(fig.10)が観察されたものの、 オオアタマミジンコやノロは出現を確認できなかった。
中型種では、ハリナガミジンコの出現を確認できなかった。
05月は、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物2種、合計9種の出現を観察した。

【考察】
モツゴふ化仔魚の初期餌料に最適なツボワムシ(fig.06)が優占しており、 モツゴふ化仔魚は、初期餌料に遭遇できる可能性が高く、ふ化後の第1ハードルを越え、生残率が高いと考えられる。
一方、2010年02〜03月に牛久沼内で自然繁殖し、あるいは人工ふ化増殖し、ある程度成長し(口径の大きくなっ)たワカサギ稚魚にも、 好適な餌料環境であると判断できる。
新造語で状況を換言すれば、03月中旬頃の牛久沼には、ふ化仔魚の乗り得る、主稼働している天然餌料エスカレータは1基であったが(※01)、 05月初旬には2段階目の天然餌料エスカレータが増設され、2基共に主稼働していると、見なせる。
オオアタマミジンコ・ノロ・ハリナガミジンコの出現(3段階目の天然餌料エスカレータ)は、例年これからである。
漁場ごとに相違する天然餌料エスカレータの把握は、資源マイルストーン管理の基本のひとつである。

【参考文献】
※01 よしさん(2010):
「牛久沼で人工ふ化したワカサギ(2010年魚)用、初期餌料調査報告」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報
※02 よしさん(2010):
「茨城県牛久沼におけるモツゴの産卵開始時期及び産卵床位置の嗜好性」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報

採取:2010年05月10日(月)09:00 天候○◎ 気温19.0℃ 水温20.8℃ at09:00
水位YP6.16 水色ややマッディー 風向:北東3m/秒
発表:2010年05月12日(水) 前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん

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