スポンサードなし、よしさんの自費研究成果です

ワカサギふ化放流ノート
千葉県雄蛇ケ池の少毛目ハルテリア属
Halteria of the onjyaga-ike pond.
fig.01 少毛目ハルテリア属
fig.01 少毛目ハルテリア属 Halteria sp.(原生動物)
【よしさんコメント】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※03)。
2010年07月04日(日)、ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察した結果は、別途報告している(※05〜※06)。

雄蛇ケ池で、おかしな連中を発見した。
原生動物のうち、繊毛虫門の浮遊性繊毛虫群に分類される少毛目ハルテリア属の一種である(fig.01)。
繊毛虫は(恐らく)今も新種の記載が続き、その全種数は増加の一途と思われる。
繊毛虫は固定液による変形が著しく、種記載の大半は光学顕微鏡を用い、試料が生存している状態で行い、 分類同定は原著論文の種記載および図をもとにするとされる(※04)、が、よしさんは 「サンプルを現地でホルマリン固定」し、「固定液による変形が著しいまま」、「試料が死亡している状態で」 観察したため、少毛目ハルテリア属までは絞り込めたものの、姿がどの図版とも微妙に相違するようで、 残念なことに「種」は未同定となり、「××属の一種」という名前になった。

繊毛虫は日常見慣れぬ動物で、なかでも少毛目の大きさは15〜30μm程度と小さく(最大級で100μm) 目立たない存在ながら、奇想天外な種が多い(掲載写真(fig.01)左のグリッドは100μm)。
「ハルテリア属の一種」(fig.01)は、ほぼ球形の虫体で、頭部に体長の半分ほども長さのある棘毛が 15本あり、棘毛の基部に口を有し、口の左縁に摂餌と移動用に使用される繊毛がある、それで終わり。
目鼻や耳はなく、手足もない、口はあっても肛門はないという、トンデモぶり。
それゆえ、高解像度の顕微鏡を購入し、研究にのめり込む危険性が高く、 簡単にお勧めすることは、ご遠慮したい。

【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。 

【参考文献】
(※01)猪木正三(1981):「少毛類」『原生動物図鑑』,762-763pp,講談社,東京, \25800
(※02)蒋燮治(1983):『西蔵水生無脊椎動物』第1版,vi+492pp,科学出版社(北京),80元
(※03)よしさん(1996〜2010):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※05)よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2010年07月04日(日)12:00 天候◎○ 気温:30.1℃ (at12:00 mobara) 水温:29.6℃
水位:0.8m減水 水の透明度:不良 検鏡撮影:2010年07月08日(木)〜10日(土)
発表:2010年07月15日(木)前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0001 雄蛇ケ池

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