【考察】 成長の遅い稚魚の餌料に適したツボワムシ(fig.04)・ツノワムシ(fig.05)・カメノコウワムシ(fig.06)・ ハネウデワムシ(fig.08)等や、既に、未成魚ステージに成長した魚類に最適なサイズの、 ヤマトヒゲナガケンミジンコ(fig.02)・オオアタマミジンコ(fig.03)等が豊富に存在している。 これを魚類から見ると、08月の牛久沼は、小型天然餌料を中心としたエスカレータと、中大型天然餌料を中心としたエスカレータの2基が 稼働する好適な魚類餌料環境であると判断できる。 漁場ごとに相違する天然餌料エスカレータの把握は、資源マイルストーン管理の基本のひとつである。
しかし、表層水温は30.0℃を越える場合もあるため、平均水深1.5m程度で変水層の形成されぬ牛久沼においては、 餌料問題の他に、溶存酸素量(Do)不足による斃死というリスクも、冷水系魚類(ワカサギ)には懸念される。 この過酷な条件を踏まえ、夏季を過ぎ秋冬期に漁獲(釣獲)されるワカサギの現実から、 夏季の高水温及び低溶存酸素量からの避難場所の存在が暗示される。 具体的には、より水深のあるエリアや、沼底から湧水のある箇所等の比較的低水温域が想起されるが、 場所の特定や仕組みの保護対策は、牛久沼の魚類資源を継続的に利用するための今後の課題であろう。
【参考文献】 ※01 水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900 ※02 よしさん(2010):「牛久沼のヤマトヒゲナガケンミジンコ」.亀山湖牛久沼ワカサギ情報