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ワカサギふ化放流ノート
千葉県笹川湖のプランクトン(2010)
Microphotographs of the freshwater plankton of lake sasagawa, chiba.(2010)
fig.0a 笹川湖
fig.0a 笹川湖

【千葉県笹川湖のプランクトン(2010)】
笹川湖(千葉県君津市)は、2001(平成13)年に完成した片倉ダムによる、人造湖である(※03)。

【目的】
笹川湖(fig.0a 写真)の第5種共同漁業権は小櫃川漁業協同組合に免許されているが、誰でも簡単に閲覧できる形で、 魚類資源管理という概念からの、餌料プランクトン調査は、過去に公表されていないようだ。
2010年08月20日(金)、所用のついでに、笹川湖の夏の魚類餌料プランクトン相を明らかにすることを目的に、 レンタルボート笹川桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】

fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.02 ヤマトヒゲナガケンミジンコ
fig.02 ヤマトヒゲナガケンミジンコ
Eodiaptomus japonicus
fig.03 ゾウミジンコ
fig.03 ゾウミジンコ
Bosmina longirostris
fig.04 ヒメネコゼミジンコ
fig.04 ヒメネコゼミジンコ
Ceriodaphnia pulchella
fig.05 オオアタマミジンコ
fig.05 オオアタマミジンコ
Diaphanosoma dubia
MANUILIOVA
fig.06 コシカクミジンコ
fig.06 コシカクミジンコ
Alona rectangula Sars,1861
fig.07 ハネウデワムシ
fig.07 ハネウデワムシ
Polyarthra remata
fig.08 フクロワムシ
fig.08 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.09 テマリワムシ
fig.09 テマリワムシ
Conochilus hippocrepis
fig.10 ミドリワムシ
fig.10 ミドリワムシ
Ascomorpha ecaudis
fig.11 ミジンコワムシ
fig.11 ミジンコワムシ
Hexarthra mira
fig.12 ディフルギア属
fig.12 ディフルギア属
Difflugia sp.(原生動物)
fig.13 繊毛虫
fig.13 繊毛虫
Phylum ciliophora
fig.14 ボルボックス属
fig.14 ボルボックス属
Volvox sp.(原生動物)
fig.15 不詳
fig.15 不詳
Unknown
fig.16 ユーグレナ属
fig.16 ユーグレナ属
Euglena sp.(原生動物)
fig.17 ウズオビムシ科
fig.17 ウズオビムシ科
Peridiniidae(渦鞭毛虫)
fig.18 ツノオビムシ
fig.18 ツノオビムシ Ceratium hirundinella(渦鞭毛虫)
fig.19 アナベナ
fig.19 アナベナ Anabaena macrospora
マクロスポーラ
fig.20 コエロスファエリウム
fig.20 コエロスファエリウム
Coelosphaerium nagelianum
ナゲリアナム
fig.21 異物
fig.21 異物 Unknown
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.21)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果の、圧倒的優占種は、ボルボックス属(fig.14)であった。
次に多く見られた種は、ツノオビムシ(fig.18)で、その下位にヤマトヒゲナガケンミジンコ(fig.02)・オオアタマミジンコ(fig.05)・ ウズオビムシ科(fig.17)が並んだ。
まとめると、ミジンコ類6種・ワムシ類5種・原生動物7種が観察された。
植物プランクトンは、アナベナマクロスポーラ(fig.19)が多く観察されたが、 水の華(アオコ現象)を形成するほどの異常繁殖ではなかった。

【考察】
08月に観察した動物プランクトンから、鎧に包まれ、腹の足しになりそうもない渦鞭毛虫類を除くと、季節的には、 成長の遅い稚魚や未成魚に適当な餌料プランクトンは、ヤマトヒゲナガケンミジンコ(fig.02)・オオアタマミジンコ(fig.05)等の 大型プランクトンになろう。
しかし、笹川湖の大型プランクトンは「大変に豊富」とまで言えず、量的には、ある程度の魚類を養うに留まるものと考えられる。
プランクトン相は、下流の亀山湖(富栄養湖)に比し、今のところ、中栄養湖型と見られる。
出現したプランクトンの何種かについては、既に報告しており、参照されたい(※06〜※11)。

今回調査で優占種であった、ボルボックス属(fig.14)は、淡水域で水の華を引き起こすことが、有賀祐勝(東京水産大学)により指摘されており(※01)、 藍藻類アナベナマクロスポーラ(fig.19)と合わせ、挙動を観察継続することがベターであろう。

【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたレンタルボート笹川に感謝します。 

【参考文献】
(※01)猪木正三(1981):「C.おもな赤潮原生動物」『原生動物図鑑』,189-190pp,講談社,東京, \25800
(※02)福代康夫(1995):『日本の赤潮生物-写真と解説-』407pp,第2版,内田老鶴圃(東京), \13390
(※03)よしさん(1996〜2010):笹川湖「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)千原光雄(1997):『藻類多様性の生物学』1-386pp,内田老鶴圃(東京), \9000+税
(※05)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※06)よしさん(2007):「亀山湖のボルボックス」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2007):「牛久沼のミドリムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2009):「牛久沼のコシカクミジンコ」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のミジンコワムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のヒメネコゼミジンコ」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2010):「牛久沼のヤマトヒゲナガケンミジンコ」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2010年08月20日(金)10:30 天候○ 気温:29.8℃ (at10:00 sakahata) 水温:28.8℃
水位:3.0m減水 水の透明度:良好 検鏡撮影:2010年08月24日(火)〜27日(金)
発表:2010年08月29日(日)ワカサギ研究家よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0006 笹川湖

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