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fig.00 尼ケ台池
【千葉県尼ケ台池のプランクトン】
尼ケ台池(千葉県長生郡長生村)は、往古、南白亀川(なばきがわ)の溢水が低湿地に溜った自然成因池沼である(※03)。
【目的】
千葉県東部、九十九里浜(九十九里平野)の砂丘列間低湿地に連なる池沼における、
プランクトン調査結果は、誰でも簡単に閲覧できる形で、千葉県、あるいは地元自治体から、過去に公表されていないようだ。
今回、尼ケ台池の魚類餌料プランクトン相を明らかにすることを目的に、2010年09月03日(金)、プランクトンを採取し、
現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。
【結果】
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fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
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fig.02 ゾウミジンコの耐久卵
Bosmina longirostris
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fig.03 カイミジンコの一種
Cypridacea
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fig.04 カイミジンコの一種
Cypridacea
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fig.05 ダーウィヌラ(カイミジンコ)
Darwinula stevensoni
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fig.06 ミジンコワムシ
Hexarthra mira
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fig.07 不詳
Unknown
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fig.08 カメノコウワムシ属
Keratella sp.
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fig.09 ディフルギア属
Difflugia sp.(原生動物)
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fig.10 ウズオビムシ科
Peridiniidae(渦鞭毛虫)
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fig.11 ボルボックス属 Volvox sp.(原生動物)
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fig.12 サヤツナギ属
Dinobryon(原生動物)
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fig.13 不詳
Unknown
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fig.14 水生ミミズ(環形動物門) Aeolosoma sp.
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検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.14)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果の優占種は、カイミジンコの一種・キプリス上科(fig.03-fig.04)で、次に多く見られた種は、ゾウミジンコの耐久卵(fig.02)であったが、
特筆すべきは、カイミジンコの一種・ダーウィヌラ(fig.05)の発見である。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物4種が確認された。
【考察】
気温35.0℃以上の猛暑日が続き、異常とも思える高温の夏にもかかわらず、尼ケ台池の透明度は清澄で良好に見えた(fig.00)。
09月に観察した動物プランクトンの種類と量は、概ね貧相で、プランクトン食性魚・雑食性魚を多く養うのは困難と推定される。
尼ケ台池は、明確な流入河川を持たず、公園敷地内の降雨と水面蒸発、並びにオーバーフローでバランスしている小さな水体で、
特異な水生植物(※12)と、希少カイミジンコ Darwinula stevensoni の存在(※11)を併せ、あたかもアクアリウムまたは小宇宙とも呼ぶべき世界
を形成している特殊なエリアと考えられる。
従って、生態系を構成する環境に人為的改変を加えず、後世に残し伝えるべき場所のひとつであろう。
今回調査で観察された、ボルボックス属(fig.11)は、淡水域で水の華を引き起こすことが、有賀祐勝(東京水産大学)により指摘され(※01)、
ウズオビムシ科の一種(fig.10)と合わせ、挙動を観察継続することが望ましい。
【参考文献】
(※01)猪木正三(1981):「C.おもな赤潮原生動物」『原生動物図鑑』,189-190pp,講談社,東京, \25800
(※02)福代康夫(1995):『日本の赤潮生物-写真と解説-』407pp,第2版,内田老鶴圃(東京), \13390
(※03)よしさん(1996〜2010):尼ケ台池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)千原光雄(1997):『藻類多様性の生物学』1-386pp,内田老鶴圃(東京), \9000+税
(※05)水野寿彦・高橋永治(2000):「ダーウィヌラ上科」『日本淡水動物プランクトン検索図説』121-123pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※06)よしさん(2007):「亀山湖のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2007):「亀山湖のボルボックス」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のミジンコワムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県笹川湖のディフルギア属」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2010):「千葉県亀山湖のアオコ現象」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2010):「尼ケ台池のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池の食虫植物タヌキモ」http://wakasagi.jpn.org/
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