『日本水生植物図鑑』の、種子植物門・被子植物亜門・双子葉植物綱・合弁花亜綱・タヌキモ科(Lentibulariaceae)には、
ノタヌキモ・フサタヌキモ・タヌキモ・コタヌキモ・ヒメタヌキモ・イトタヌキモの6種が記載されている(※01)。
食虫植物が食虫植物であるための唯一の特徴、捕食部をまず見て頂こう。
捕虫のう内部(fig.01)は、捕えられた虫が最後に見る(であろう)景色で、消化のための
X字状の吸収毛が多数備えられている(fig.06)。
今回、観察・検鏡し、撮影した写真(fig.01-fig.09)を、上記に示す(背景のグリッドは100μm間隔)。
オシベ・メシベと花が観察できなかったため、ノタヌキモかタヌキモか、同定に迷う箇所もあるが、総合的にタヌキモとした。
タヌキモと似ているイヌタヌキモを別種とする立場もあり、詳細は角野康郎が「タヌキモ類の分類と開花・結実をめぐって」(※02)に紹介しており、
興味のある方は参照願いたし。
千葉県内の絶滅のおそれのある野生生物の種のリストが「千葉県レッドリスト」で、種ごとに現状と保護のあり方を
まとめ、理解しやすくしたものが「千葉県レッドデータブック」(※04)である。
タヌキモも「重要保護生物B」「準絶滅危惧NT」と記載されているが、欲を言うことが許されるならば、千葉県内産に限定され、同属他種(と変種)が網羅されておらず、
各部詳細の記述・図示も不足することから、啓蒙用に留まり、同定に使用可能なレベルではないことが、惜しまれる。
釣り場でタヌキモを見かけたら、撮るのは写真だけにしておこう。
尼ケ台池のプランクトンと、カイミジンコ Darwinula stevensoni については、別途報告した(※05〜※06)。
【参考文献】
(※01)大滝末男・石戸 忠(1980):「タヌキモ」.『日本水生植物図鑑』.北隆館,東京,10-21pp.
(※02)角野康郎(1989):日本の水草 その自然史7「タヌキモ類の分類と開花・結実をめぐって」. 『日本の生物』3(2).feb,63-68pp.
(※03)よしさん(1996〜2010):尼ケ台池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)千葉県(2009):タヌキモ「千葉県レッドデータブック」
(※05)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「尼ケ台池のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/
|