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ワカサギふ化放流ノート
千葉県尼ケ台池の食虫植物タヌキモ
Utricularia australis R.Br. of Amagadai pond, chiba.
【千葉県尼ケ台池の食虫植物タヌキモ】

往古、南白亀川(なばきがわ)の溢水が、九十九里平野の低湿地に溜った自然成因池沼群のひとつ、 千葉県長生郡長生村尼ケ台池(※03)は、食虫植物タヌキモの自生地としても知られている。
今回、尼ケ台池に続く、下流の流末水路中より、タヌキモを採取し、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

fig.01 捕虫のう内部
fig.01 捕虫のう内部
fig.02 水中葉
fig.02 水中葉
fig.03 捕虫のう外観
fig.03 捕虫のう外観
fig.04 捕虫のう外観
fig.04 捕虫のう外観
fig.05 捕虫のう外観
fig.05 捕虫のう外観
fig.06 吸収毛
fig.06 捕虫のう内部のX字状の吸収毛は見えずらい
fig.07 捕虫のう口部の
ヒゲ状突起
fig.07 捕虫のう口部の
ヒゲ状突起
fig.08 捕虫のう口部の
ヒゲ状突起
fig.08 捕虫のう口部のヒゲ状突起
fig.09 小羽片
fig.09 小羽片の突起状態
『日本水生植物図鑑』の、種子植物門・被子植物亜門・双子葉植物綱・合弁花亜綱・タヌキモ科(Lentibulariaceae)には、 ノタヌキモ・フサタヌキモ・タヌキモ・コタヌキモ・ヒメタヌキモ・イトタヌキモの6種が記載されている(※01)。

食虫植物が食虫植物であるための唯一の特徴、捕食部をまず見て頂こう。
捕虫のう内部(fig.01)は、捕えられた虫が最後に見る(であろう)景色で、消化のための X字状の吸収毛が多数備えられている(fig.06)。
今回、観察・検鏡し、撮影した写真(fig.01-fig.09)を、上記に示す(背景のグリッドは100μm間隔)。
オシベ・メシベと花が観察できなかったため、ノタヌキモかタヌキモか、同定に迷う箇所もあるが、総合的にタヌキモとした。
タヌキモと似ているイヌタヌキモを別種とする立場もあり、詳細は角野康郎が「タヌキモ類の分類と開花・結実をめぐって」(※02)に紹介しており、 興味のある方は参照願いたし。
千葉県内の絶滅のおそれのある野生生物の種のリストが「千葉県レッドリスト」で、種ごとに現状と保護のあり方を まとめ、理解しやすくしたものが「千葉県レッドデータブック」(※04)である。
タヌキモも「重要保護生物B」「準絶滅危惧NT」と記載されているが、欲を言うことが許されるならば、千葉県内産に限定され、同属他種(と変種)が網羅されておらず、 各部詳細の記述・図示も不足することから、啓蒙用に留まり、同定に使用可能なレベルではないことが、惜しまれる。

釣り場でタヌキモを見かけたら、撮るのは写真だけにしておこう。
尼ケ台池のプランクトンと、カイミジンコ Darwinula stevensoni については、別途報告した(※05〜※06)。

【参考文献】
(※01)大滝末男・石戸 忠(1980):「タヌキモ」.『日本水生植物図鑑』.北隆館,東京,10-21pp.
(※02)角野康郎(1989):日本の水草 その自然史7「タヌキモ類の分類と開花・結実をめぐって」.
『日本の生物』3(2).feb,63-68pp.
(※03)よしさん(1996〜2010):尼ケ台池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com

(※04)千葉県(2009):タヌキモ「千葉県レッドデータブック」
(※05)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「尼ケ台池のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2010年09月03日(金)10:00 天候○ 気温:35.1℃ (at11:00 mobara) 水温:30.0℃
検鏡撮影:2010年09月06日(月)〜09日(木)
発表:2010年09月14日(火) rev.01:2010年11月06日(土)前牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0070 尼ケ台池

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