検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.12)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
宮島の池における、今回のプランクトン調査結果の、圧倒的優占種は、オオアタマミジンコ(fig.02)であった。
次に多く見られた種は、ケンミジンコ属(fig.01)で、その下位にツノワムシ(fig.04)が出現した。
ゾウミジンコは、殻のみ観察したものの生体及び耐久卵は未確認となった。
まとめると、ミジンコ類2種・ワムシ類2種・原生動物3種が観察された。
植物プランクトン(fig.08-fig.11)は、ミクロキスティスを主とする藍藻類が異常繁殖し、水の華(アオコ現象)を形成していた(fig.0a)
が、水の華(アオコ現象)については別途報告する(※10)。
藍藻類以外では、緑藻類(fig.08-fig.11)が多く観察された。
【考察】
09月に観察したプランクトンから、宮島の池の雑食性魚類に適当な餌料プランクトンを探すと、オオアタマミジンコ(fig.02)が
考えられるものの、宮島の池の大型プランクトンは「大変に豊富」とまで言えず、量的には、ある程度の魚類を養うに留まるものと思われ、
不足分は、付着性生物及びベントス類で補うことになろう。
植物性餌料を必要とする魚類については、植物プランクトン(fig.08-fig.11)及びデトリタス類(fig.12・※05)が挙げられようが、
種及び量は優良とは言い難い環境と推定される。
九十九里平野南部の千葉県長生郡長生村に位置する尼ケ台池(※02)は、宮島の池と
同様成因池沼であり、水生植物が良く保存され(※09)水も清澄でカイミジンコ類が優占している(※07〜※08)ことに比し、
宮島の池のプランクトン相はやや単調で、水体の類型は富栄養湖型と見られる。
水田地帯の宮島の池で、水田由来珪藻類が少なかった原因のひとつは、自作プランクトンネットのメッシュが大きく、捕捉洩れの可能性がある。
出現したプランクトンの何種かについては、既に報告しており、参照されたい(※04〜※06)。
【参考文献】
(※01)よしさん(1996〜2010):宮島の池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)よしさん(1996〜2010):尼ケ台池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)よしさん(2008):「亀山湖のオオアタマミジンコ(オス♂)」http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2008):「牛久沼のデトリタス」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「千葉県笹川湖のツノオビムシと淡水赤潮」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2010):「尼ケ台池のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池の食虫植物タヌキモ」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2010):「千葉県宮島の池のアオコ現象」http://wakasagi.jpn.org/
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