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ワカサギふ化放流ノート
千葉県宮島の池のプランクトン(2010)
Microphotographs of the freshwater plankton of Miyajima pond, chiba.(2010)
fig.0a 宮島の池
fig.0a 宮島の池

【千葉県宮島の池のプランクトン(2010)】
往古、作田川(さくたがわ)の溢水が、九十九里平野の低湿地に溜った自然成因池沼群のひとつ、 千葉県山武郡九十九里町宮島の池(※01)のプランクトン相を明らかにすることを目的に、2010年09月03日(金)、プランクトンを採取し、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】

fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.02 オオアタマミジンコ
fig.02 オオアタマミジンコ
Diaphanosoma dubia
MANUILIOVA
fig.03 ツボワムシ
fig.03 ツボワムシ(変異型)
Brachionus calyciflorus f.anuraeiformis
fig.04 ツノワムシ
fig.04 ツノワムシ
Schizocerca diversiconis
fig.05 ウズオビムシ科
fig.05 ウズオビムシ科
Peridiniidae(渦鞭毛虫)
fig.06 ツノオビムシ
fig.06 ツノオビムシ Ceratium hirundinella(渦鞭毛虫)
fig.07 不詳
fig.07 不詳
Unknown
fig.08 不詳
fig.08 不詳
Unknown
fig.09 不詳
fig.09 不詳
Unknown
fig.10 ミドロの一種
fig.10 ミドロの一種 Zygnematophyceae
fig.11 不詳
fig.11 不詳
Unknown
fig.12 デトリタス
fig.12 デトリタス Detritus
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.12)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
宮島の池における、今回のプランクトン調査結果の、圧倒的優占種は、オオアタマミジンコ(fig.02)であった。
次に多く見られた種は、ケンミジンコ属(fig.01)で、その下位にツノワムシ(fig.04)が出現した。
ゾウミジンコは、殻のみ観察したものの生体及び耐久卵は未確認となった。
まとめると、ミジンコ類2種・ワムシ類2種・原生動物3種が観察された。

植物プランクトン(fig.08-fig.11)は、ミクロキスティスを主とする藍藻類が異常繁殖し、水の華(アオコ現象)を形成していた(fig.0a) が、水の華(アオコ現象)については別途報告する(※10)。
藍藻類以外では、緑藻類(fig.08-fig.11)が多く観察された。

【考察】
09月に観察したプランクトンから、宮島の池の雑食性魚類に適当な餌料プランクトンを探すと、オオアタマミジンコ(fig.02)が 考えられるものの、宮島の池の大型プランクトンは「大変に豊富」とまで言えず、量的には、ある程度の魚類を養うに留まるものと思われ、 不足分は、付着性生物及びベントス類で補うことになろう。
植物性餌料を必要とする魚類については、植物プランクトン(fig.08-fig.11)及びデトリタス類(fig.12・※05)が挙げられようが、 種及び量は優良とは言い難い環境と推定される。
九十九里平野南部の千葉県長生郡長生村に位置する尼ケ台池(※02)は、宮島の池と 同様成因池沼であり、水生植物が良く保存され(※09)水も清澄でカイミジンコ類が優占している(※07〜※08)ことに比し、 宮島の池のプランクトン相はやや単調で、水体の類型は富栄養湖型と見られる。
水田地帯の宮島の池で、水田由来珪藻類が少なかった原因のひとつは、自作プランクトンネットのメッシュが大きく、捕捉洩れの可能性がある。
出現したプランクトンの何種かについては、既に報告しており、参照されたい(※04〜※06)。

【参考文献】
(※01)よしさん(1996〜2010):宮島の池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)よしさん(1996〜2010):尼ケ台池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)よしさん(2008):「亀山湖のオオアタマミジンコ(オス♂)」http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2008):「牛久沼のデトリタス」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「千葉県笹川湖のツノオビムシと淡水赤潮」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2010):「尼ケ台池のカイミジンコ Darwinula stevensoni 0.1%の奇跡」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池の食虫植物タヌキモ」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2010):「千葉県宮島の池のアオコ現象」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2010年09月03日(金)12:00大池にて 天候○ 気温:35.0℃ (at12:00 mobara) 水温:31.2℃
水位:1.0m減水 水の透明度:不良(アオコ現象発生) 検鏡撮影:2010年09月15日(水)〜18日(土)
発表:2010年09月19日(日)前牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0044 宮島の池

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