拾得した水生植物の全景を最上段に示す(fig.01)。
観察部分の茎は円柱形で、太い箇所の径1mmから0.5mm・さらに先端は細い。
節間の長さは、最大37mmから、27mm・23mm・10mm・8mm・4mmと、先端の間隔は詰まっている。
節から葉が輪生し、枝も分岐させる。
輪生葉は、1節に5〜6枚で最大は8枚、葉片は無柄で線形軟質、葉縁に細鋸歯がある(fig.02-fig.04)。
葉片の長さは8〜11mm、幅は1.5〜2mm、中央脈が明瞭である(fig.05)。
拾得した水生植物は、拾得地と観察結果から、『日本水生植物図鑑』(※01)により、
沈水性多年草の一種、トチカガミ科のクロモ Hydrilla verticillata Casp. と同定した。
【考察】
『日本の生物』(※03)に、クロモは国内各地の湖沼・溜め池・河川・水路に生育するだけでなく、
旧大陸(ユーラシア・アフリカ・オーストラリア)に広く分布し、新大陸へも帰化侵入している、と角野康郎博士が述べている。
1属1種の水草が、特定地域限定の遺存種的存在ではなく、広域に分布することは驚異的だ。
時節柄(花期は終わっているため)、拾得したクロモに花はなく、花と花粉は未観察である。
榛名湖の水生植物は、水深3〜4m位までの沿岸部に見られ、魚類の良い産卵・摂餌の場所になっており(※02)、
魚族繁殖を願う釣り人には、心強く大切な存在である。
榛名湖のプランクトンと、セキショウモについては、別途報告した(※06〜※07)。
【謝辞】
榛名湖視察に便宜を与えて頂いた、伊勢崎市在住古田ひろよしさんに感謝します。
【参考文献】
(※01)大滝末男・石戸 忠(1980):「クロモ」.『日本水生植物図鑑』.北隆館,東京,188-189pp.
(※02)五味禮夫(1980):「榛名湖」『群馬の湖沼』,170-182pp,巻末26-27pp,上毛新聞社出版局,前橋, \1600
(※03)角野康郎(1989):日本の水草 その自然史10「生活史と種内変異」.『日本の生物』3(5),may,1989,55-60pp.
(※04)よしさん(2010):「第15回ワカサギに学ぶ会参加報告」http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2010):「群馬県鳴沢湖のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「群馬県榛名湖のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2010):「群馬県榛名湖のセキショウモ」http://wakasagi.jpn.org/
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