【考察】
目視でアオコ現象が認められないこと、及び師走になり冷え込んできたこと等により、雄蛇ケ池の
藍藻類はいつの間にか消滅したと考えた人もいるだろう。
しかし、地球が誕生し、やがて冷えて生物が存在可能な温度環境となった時から、バクテリア・菌類と共に
藍藻類は出現し、長い歴史を生きてきた。
地球に分子状酸素の無かった原始には、酸素呼吸を必要とする生物は存在しなかった(はずだ)が、藍藻類は
「無酸素状態で光エネルギーが与えられると、硫化水素を酸化して光合成を行う。この場合には酸素分子は
発生しない。(中略)酸素発生を伴う光合成が発明される以前の光合成の型を、現在のラン藻の一部は今も
なお保存しているものといえる」(※01)等の古典的能力もあり、酸素呼吸に依存し有機物を酸化するだけの
人間には無い、未知の能力がまだまだ秘められている可能性が高い生物であると認識する必要がある。
2010年07月の調査(※04)で出現した7種の藍藻類の内、ミクロキスティス ノバセキ・
アナベナ スピロイデス クラッサ・アナベナ マクロスポーラ・コエロスファエリウム ナゲリアナムの4種
を除く、前述3種(fig.01-fig.03)が、師走の雄蛇ケ池で観察され、消滅していないことが明らかになった。
雄蛇ケ池における、2006年早春から2010年07月に至るアオコ現象の経緯については、前報
で述べた(※04)。
【謝辞】
藍藻類調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】
(※01)藤田善彦・大城 香(1993):「ラン藻という生きもの」第2刷,50-51pp,東京大学出版会,\1648
(※02)よしさん(1996〜2010):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※04)よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※05)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のヒメネコゼミジンコ(続報)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のフクロワムシが捕食したもの」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2010):「雄蛇ケ池前水路のコカナダモ」http://wakasagi.jpn.org/