採取した池水を顕微鏡下で観察したところ、今回の水の華(アオコ現象)は、
藍藻のミクロキスティス エルギノーザ(fig.01)、
ミクロキスティス ノバセキ(fig.02)、
ミクロキスティス ベーゼンベルギー(fig.03)、
ミクロキスティス イクチオブラーベ(fig.04)、
ネンジュモ科の1種(fig.05)、
アナベナ スピロイデス クラッサ(fig.06)、
アナベナ マクロスポーラ(fig.07)、
の合計7種からなる複合現象であることが明らかになった。
国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」(※12)のレベルをあてはめると、
池全体・塚本ボート桟橋周辺は2〜3、堰堤北側・弁天谷津(東側・西側共)でレベル3〜4であった。
【考察】
今回の調査結果から(少なくとも)、2011年夏季は、2010年夏季と同様の原因藍藻類で
構成されるアオコ現象であることが判明した。
もし、藍藻類研究のエキスパートが観察したならば、上述の7種以外に原因を構成する種を指摘できる
可能性も残されていよう。
秋季に雄蛇ケ池の水温が下降開始するまでに「見た目アオコ現象」のレベルは、更に悪化する
ものと考えられる。
同日調査した「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」については、別途報告している(※20)。
【謝辞】
雄蛇ケ池を通年観察し、都度状況を報告くださる「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」主宰つかじーさんに感謝します。
【参考文献】
(※01)生嶋 功(1991):『水の華の発生機構とその制御』第2刷,183pp,東海大学出版会,\1648
(※02)朱 浩然(1991):『中国淡水藻志 第二巻 色球藻綱』第1版,vi+161pp,科学出版社(北京),13.00元
(※03)藤田善彦・大城 香(1993):『ラン藻という生きもの』第2刷,134pp,東京大学出版会,\1648
(※04)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):『アオコ−その出現と毒素−』257pp,東京大学出版会,\4738
(※05)よしさん(1996〜2011):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※06)田中正明(2002):Pseudanabaena mucicola『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』258-259pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※07)渡辺眞之(2007):『日本アオコ大図鑑』159pp,誠文堂新光社,\6000+税
(※08)よしさん(2006):「水の華シロコ現象とは(亀山湖における2005年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※13)よしさん(2008):「雄蛇ケ池におけるアオコ現象と想定される毒性」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)よしさん(2008):「これがソウギョの糞塊だ(千葉県雄蛇ケ池の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※15)よしさん(2009):「雄蛇ケ池のアオコ現象、見た目と実態(2009年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※16)よしさん(2009):「アオコ現象の千葉県雄蛇ケ池における捨水管理と結末」http://wakasagi.jpn.org/
(※17)よしさん(2009):「紅葉してもアオコ現象の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※18)よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※19)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告」http://wakasagi.jpn.org/
(※20)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※21)つかじー(2011):「雄蛇ヶ池の話 〜蛇(じゃ)の道は蛇(へび)〜」http://ojyagaike.naturum.ne.jp/