【結果】
採取した池水を顕微鏡下で観察したところ、藍藻類ユレモ科のオシラトリア属(fig.01)、
ネンジュモ科のアナベナ属(fig.02)、
ミクロキスティス イクチオブラーベ(fig.03)の、3種を確認した。
丑ケ池の状況を、国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」(※14)のレベルにあてはめると、
池全体でレベル2であった。
【考察】
水の華(アオコ現象)は、主に藍藻類の異常繁殖により引き起こされるが、原因藻類は初期の一種単独から、
重篤化が進むにつれ、一属複合型に変化するようである(※09〜※10)。
さらには、異属の多種混合型で出現する事例も、東金市内の雄蛇ケ池で多く観察されている(※11,※13〜※19,※21〜※22)。
丑ケ池の藍藻類は、御三家というべき、オシラトリア属・アナベナ属・ミクロキスティスが同時に観察されたことから、
既に、イエローカード状態と見られる。
高水温の他に、多量の栄養塩類が与えられ、異常繁殖を誘引せぬよう、今後の動向に要注意である。
同日調査した「千葉県丑ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」については、別途報告している(※23)。
【参考文献】
(※01)生嶋 功(1991):『水の華の発生機構とその制御』第2刷,183pp,東海大学出版会,\1648
(※02)朱 浩然(1991):『中国淡水藻志 第二巻 色球藻綱』第1版,vi+161pp,科学出版社(北京),13.00元
(※03)藤田善彦・大城 香(1993):『ラン藻という生きもの』第2刷,134pp,東京大学出版会,\1648
(※04)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):『アオコ−その出現と毒素−』257pp,東京大学出版会,\4738
(※05)福代康夫(1995):『日本の赤潮生物-写真と解説-』第2版,xv+407pp,内田老鶴圃,\13390
(※06)よしさん(1996〜2011):丑ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※07)千原光雄(1997):『藻類多様性の生物学』vii+386pp,内田老鶴圃,\9000+税
(※08)田中正明(2002):Pseudanabaena mucicola『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』258-259pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※09)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2006):「アオコとは(亀山湖における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2006〜2008):「雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)渡辺眞之(2007):『日本アオコ大図鑑』159pp,誠文堂新光社,\6000+税
(※13)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
(※15)よしさん(2008):「雄蛇ケ池におけるアオコ現象と想定される毒性」http://wakasagi.jpn.org/
(※16)よしさん(2009):「雄蛇ケ池のアオコ現象、見た目と実態(2009年)」http://wakasagi.jpn.org/
(※17)よしさん(2009):「アオコ現象の千葉県雄蛇ケ池における捨水管理と結末」http://wakasagi.jpn.org/
(※18)よしさん(2009):「紅葉してもアオコ現象の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※19)よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
(※20)よしさん(2010):「千葉県宮島の池のアオコ現象」http://wakasagi.jpn.org/
(※21)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告」http://wakasagi.jpn.org/
(※22)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※23)よしさん(2011):「千葉県丑ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/