検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.10)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
多く見られた種は、オオアタマミジンコ(fig.01)で、次いでケンミジンコ属(fig.02)及びユーグレナ属(fig.03)であった。
まとめると、ミジンコ類2種・原生動物5種が観察された。
【考察】
今回のプランクトン調査結果では、異様なプランクトン相が観察された。
プランクトン間の食物連鎖の上位に位置する、オオアタマミジンコ(fig.01)と、ケンミジンコ属(fig.02)の
下位に位置すべきプランクトン餌料プランクトンの欠落現象が、それである。
道の口沼のプランクトン相から発見された問題は、道の口沼に生息しようとする魚類に制約を与える可能性がある。
道の口沼は、大型プランクトン及び底生動物を餌料とするマブナ・モツゴ(クチボソ)等の魚種には、一先ず適合する環境と
言えようが、植物プランクトンを主たる餌料とするヘラブナ等の魚種には不毛の環境に近いことと推定される
また、アンバランスで異様なプランクトン相である原因が、道の口沼に起因せず、灌漑用水の中継一時貯水等の目的で、
他所からもたらされたものであれば、道の口沼の魚類餌料プランクトン環境は、さらに年間変動が大きくなろう。
恒常的自然流入水量のほとんど期待できぬ、道の口沼の用水管理が、上述のごとくであれば、
雑食性魚種のマブナ・モツゴ(クチボソ)等の生息環境も一段と悪化することが避けられまい。
地元釣り愛好家が、ヘラブナを放流している(※01)ようだが、成長に不適な魚類餌料プランクトン環境にあると見られる。
明治時代に乾草沼(※02)まで続いていた、長大池沼の名残である道の口沼の現状は、生物多様性も低く残念である。
【参考文献(架蔵書)】
(※01)よしさん(1996〜2011):道の口沼「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)よしさん(1996〜2011):乾草沼「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※04)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※05)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※06)よしさん(2011):「千葉県乾草沼の魚類餌料プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2011):「千葉県乾草沼のマツモ」http://wakasagi.jpn.org/
|