スポンサードなし、よしさんの自費研究成果です

ワカサギふ化放流ノート
千葉県乾草沼の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)
Fish bait charges plankton survey in the Higusa-numa swanp of the Summer(2011).
fig.00 乾草沼
fig.00 乾草沼

【千葉県乾草沼の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)】
乾草沼(千葉県山武郡横芝光町)は、河口閉塞屈曲溢水により形作られた池沼群の総称である(※02)。

【目的】
乾草沼の原生動物に注力した調査結果は、「原生生物情報サーバ」に公開されている(※07)。
しかし、現在、漁業権設定のなされていない乾草沼では、法令に基づく魚類増殖義務がないこともあり、 魚類資源管理という概念はなく、ましてや、魚類餌料プランクトン調査は、過去に見当たらないようである。
また、プランクトン調査結果はいつでも誰でも、特別な許可手続きなしに閲覧できる形で、 公的機関等からインターネット上に公表されていないようだ。
よしさんは、2011年08月12日(金)、夏季の魚類餌料プランクトン環境を明らかにすることを目的に、 乾草沼(島のある三角池 写真:fig.00 )でプランクトンを採取し、現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】

fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.02 ヤマトヒゲナガケンミジンコ
fig.02 ヤマトヒゲナガケンミジンコ
Eodiaptomus japonicus
fig.03 オオアタマミジンコ
fig.03 オオアタマミジンコ
Diaphanosoma dubia
MANUILIOVA
fig.04 卵鞘(休眠卵)
fig.04 卵鞘(休眠卵)
egg
fig.05 ハネウデワムシの一種
fig.05 ハネウデワムシの一種
Polyarthra remata
fig.06 ミジンコワムシ
fig.06 ミジンコワムシ
Hexarthra sp.
fig.07 フクロワムシ
fig.07 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.08 ユーグレナ属
fig.08 ユーグレナ属
Euglena sp.(原生動物)
fig.09 ファークス属
fig.09 ファークス属
Phacus sp.(原生動物)
fig.10 不詳
fig.10 不詳
Unknown
fig.11 不詳
fig.11 不詳
Unknown
fig.12 不詳
fig.12 不詳
Unknown
fig.13 デトリタス
fig.13 デトリタス
Detritus
fig.14 植物片
fig.14 植物片
fig.15 イトトンボ科の一種
(幼虫期)
fig.15 イトトンボ科の一種
(幼虫期)
Lestidae sp.
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.15)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果では、多様なプランクトンが観察された。
多く見られた種は、ケンミジンコ属(fig.01)・ユーグレナ属(fig.08)で、珪藻類・緑藻類も観察された。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物5種他が観察された。
同日調査した原生動物ツリガネムシ・バギニコラ属・水生植物マツモについては 「千葉県乾草沼の原生動物ツリガネムシ(動画)」(※09)、「千葉県乾草沼の原生動物バギニコラ属」(※10)、 「千葉県乾草沼のマツモ」(※11)に、それぞれ報告している。

【考察】
ケンミジンコ類の餌料にもなるゾウミジンコは、休眠卵(fig.04)に姿を変えていた。
明治時代に道の口沼(※03)まで続いていた、長大池沼の名残である乾草沼を、道の口沼の現状(※10) と比較すれば、藻類・水生植物とともに、原生動物と水生昆虫(イトトンボ類の幼虫)(fig.15)が多く見られ、 生物多様性の観点から乾草沼は良好な環境にあると言えよう。
水生植物ハスについては、よしさんも以前報告している(※08)。

【参考文献(架蔵書)】
(※01)津田松苗(1983):『水生昆虫学』7版,v+269pp,北隆館(東京), \5150
(※02)よしさん(1996〜2011):乾草沼「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)よしさん(1996〜2011):道の口沼「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※05)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※06)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※07)Yuuji Tsukii(2006):乾草沼「原生生物情報サーバ」
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Sampling/Locations/04-Chiba/Hikari/Higusa-numa_00.html
(※08)よしさん(2008):「ハスの茎(葉柄)とレンコンの断面」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2011):「千葉県乾草沼の原生動物ツリガネムシ(動画)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2011):「千葉県乾草沼の原生動物バギニコラ属」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2011):「千葉県乾草沼のマツモ」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2011):「千葉県道の口沼の魚類餌料プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2011年08月12日(金)08:00 天候○ 気温:31.0℃ (at09:00 miyagawa) 水温:28.2℃
水位:満水 水の透明度:良好 検鏡撮影:2011年08月16日(火)〜20日(土)
発表:2011年08月23日(火)前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0004 乾草沼
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0060 道の口沼

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