【雄蛇ケ池のネオヒゲナガケンミジンコ】
2011年12月05日に、雄蛇ケ池(千葉県東金市 ※02)の塚本ボート桟橋で採取したヒゲナガケンミジンコ科の一種を
良く観察し、オス♂の右第5胸脚外肢第1節外側末端に棘状突起のあること、及び外肢第2節外側刺の位置が外縁中央に付き、太く
長大であること等の特徴ある形状(fig.02)を、『日本淡水動物プランクトン検索図説』(※03)と比較照合し、
ネオヒゲナガケンミジンコ(fig.01)と、種の同定をした。
しかし、南方系種のネオヒゲナガケンミジンコ(fig.01)の分布は、中国大陸の満州・中部・南部、及び国内では
宍道湖内の「西潟の内」(勢村1985・同書11pp)の1例が記載されるのみで、
関東地方にいつ、どこから分布範囲を拡大したものか、やや気になるところである。
もっとも、生息環境は、「西潟の内」が標高の低い田園地帯のラグーンであるのに対し、雄蛇ケ池も標高の低い
田園地帯の溜池であり、近似している。
英国には、ネオヒゲナガケンミジンコ(fig.01)と似た特徴を持つ、Diaptomus vulgaris 及び D.wierzejskii 等も分布する(※01)。
ヒゲナガケンミジンコ科のヤマトヒゲナガケンミジンコ Eodiaptomus japonicus については、
牛久沼(茨城県)の観察事例(※04)、亀山湖(千葉県)の観察事例(※05)を報告している。
ネオヒゲナガケンミジンコ(fig.01)も、大型プランクトンの一種で、ワカサギ・マブナ・ブルーギル等の未成魚から成魚段階における
重要な餌料プランクトンのひとつである。
【参考文献】
※01 J.P. Harding・W.A. Smith(1974):『A Key to the British Freshwater Cyclopoid and Calanoid Copepods,
with ecological notes』(2nd ed.)20pp,Freshwater Biological Association,(cumbria UK), £0.40
※02 よしさん(1996〜2012):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
※03 水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』09-16pp,東海大学出版会(東京), \18900
※04 よしさん(2010):「牛久沼のヤマトヒゲナガケンミジンコ」.http://wakasagi.jpn.org/
※05 よしさん(2010):「亀山湖のヤマトヒゲナガケンミジンコ」.http://wakasagi.jpn.org/
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