スポンサードなし、よしさんの自費研究成果です

ワカサギふ化放流ノート
皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)
Fish bait charges plankton survey in the onjyaga-ike pond (May 2012).
fig.00 雄蛇ケ池(ボートハウスツカモト桟橋)
fig.00 雄蛇ケ池(ボートハウスツカモト桟橋)

【皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※01)。

【目的】
よしさんは近年、魚類餌料プランクトン環境を明らかにすることを目的に、 雄蛇ケ池のプランクトン調査を継続実施・報告している(※05〜※10)。
2012年05月17日(木)、皐月の状況を把握するため、ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し(fig.00 写真)、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】

fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.02 カブトミジンコ(尖り)
fig.02 カブトミジンコ(尖り)
Daphnia galeata
fig.03 カブトミジンコ(丸)
fig.03 カブトミジンコ(丸)
Daphnia galeata
fig.04 ダフニア
fig.04 ダフニア
Daphnia
fig.05 フクロワムシ
fig.05 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.06 カメノコウワムシ
fig.06 カメノコウワムシ
Keratella cochlearis
fig.07 テマリワムシ
fig.07 テマリワムシ Conochilus hippocrepis (群体)
fig.08 ツノオビムシ
fig.08 ツノオビムシ
Ceratium hirundinella
(渦鞭毛虫)
fig.09 サヤツナギ属(原生動物)
fig.09 サヤツナギ属(原生動物) Dinobryon sp.
fig.10 ボルボックス属
fig.10 ボルボックス属 Volvox sp.(原生動物)
fig.11 太陽虫
fig.11 太陽虫
Actinophrys sol Ehrenberg,1830
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.11)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果では、多様なプランクトンが観察された。
多く見られた種は、ボルボックス属(fig.10)及びテマリワムシ(群体)(fig.07)で、ボルボックス属(fig.10)の直径は、 450〜550〜600〜650μm、テマリワムシ(群体)(fig.07)の直径は、寒天質を含め900〜950〜1000μm、と比較的に大型であった。
次いで多く出現した種は、ツノオビムシ(fig.08)で、他は少数派であった。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物4種が観察された。
雄蛇ケ池で同日採取した藍藻類(※12)、同日観察した水辺の植生(※13)については、観察結果を別途報告している。

【考察】
東大と慶応大の研究グループが、ボルボックス属で日本産の新種2種を発見したと、2012年05月22日オンラインメディア各社で報道された(※11)。
その概要は、日本にいるボルボックス属4種の内、ボルボックス・グロバトル(学名:Volvox globator)及びボルボックス・バルベリ(学名:V. barberi)の 2種は米国由来、ボルボックス・フェリシイ(学名:V. ferrisii)及びボルボックス・カーキオルム(学名:V. kirkiorum)の2種が日本産の新種で、 ボルボックス・フェリシイが関東3県(埼玉・茨城・神奈川)から、ボルボックス・カーキオルムが岐阜県から発見されている、というもの。
よしさんのプランクトン調査目的は魚類餌料としての観点であるから、 今回観察したボルボックス属(fig.10)の種の同定は当座せず、属に留めておく。
また、多量のテマリワムシ(fig.07)は個体にバラケておらず、ほとんどが「手鞠」状の群体で観察されたこと、小型のワムシ類が僅少であったこと と併せ、水の透視度は約3.0mと高かった。
2012年皐月の雄蛇ケ池は、口径の小さな仔魚に辛く、稚魚・未成魚・成魚に良好な魚類餌料プランクトン環境にあると見られる。

【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。 

【参考文献】
※01 よしさん(1996〜2012):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
※02 鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
※03 水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
※04 田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
※05 よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
※06 よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のヒメネコゼミジンコ続報」http://wakasagi.jpn.org/
※07 よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のフクロワムシが捕食したもの」http://wakasagi.jpn.org/
※08 よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
※09 よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
※10 よしさん(2012):「雄蛇ケ池のネオヒゲナガケンミジンコ」.http://wakasagi.jpn.org/
※11 デイビー日高(2012):「東大と慶応大、群体性緑藻ボルボックスで、日本産の新種2種類を発見」マイナビニュース.http://news.mynavi.jp/news/2012/05/22/093/index.html
※12 よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告(2012)」.http://wakasagi.jpn.org/
※13 よしさん(2012):「ソウギョはクヌギも食べている(その2)」.http://wakasagi.jpn.org/

採取:2012年05月17日(木)11:30 雄蛇ケ池(千葉県東金市)塚本ボート桟橋にて
 天候○ 気温25.0℃ (at12:00 tanaka) 水温24.2℃ 満水 水色クリアー(アオコ現象レベル1)
 検鏡:2012年05月19日(土)〜25日(金)
 発表:2012年05月28日(月) 前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0001 雄蛇ケ池
転載許可: 「雄蛇ヶ池バスフィッシングガイド」 に本稿転載を許可します。よしさん。

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