【考察】
ソウギョ放流に起因する雄蛇ケ池のアオコ現象は、水温の高い夏季を中心に毎年恒常化している(※05・※07)。
アオコ現象の原因藍藻類は、冬季〜春季に消滅すると考える人もあるだろう。
本報と同日時・同場所で、「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」を調査したところ、
直径450〜550〜600〜650μm程度と比較的大型のプランクトン、ボルボックス(原生動物)が優占しており、
ワムシ等小型種の個体数は僅少であった(※09)。
従って、桟橋附近の透視度は、約3.0mと高いものであった。
水面を目視する限り、藍藻類は簡単に確認できず、顕微鏡下で観察され、群体も少数ながら、
ミクロキスティス エルギノーザ(fig.01)は、消滅していないことが明らかになった。
藍藻類が異常繁殖し、アオコ現象を引き起こすためには、繁殖に適した高水温と栄養塩が
不可欠であることから、今季の雄蛇ケ池におけるアオコ現象の行方は、ソウギョの排出する糞塊総量の
多寡(藍藻類の栄養塩として働く)に因ると考えられる。
雄蛇ケ池で同日採取した、魚類餌料プランクトン(※09)、及び同日観察した水辺の植生(※10)については、観察結果を別途報告している。
【謝辞】
藍藻類調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】
※01 藤田善彦・大城 香(1993):「ラン藻という生きもの」第2刷,50-51pp,東京大学出版会,\1648
※02 よしさん(1996〜2012):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
※03 渡辺眞之(2007):『日本アオコ大図鑑』159pp,誠文堂新光社,\6000+税
※04 よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
※05 よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
※06 よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告」.http://wakasagi.jpn.org/
※07 よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
※08 よしさん(2011):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告(2011)」http://wakasagi.jpn.org/
※09 よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」.http://wakasagi.jpn.org/
※10 よしさん(2012):「ソウギョはクヌギも食べている(その2)」.http://wakasagi.jpn.org/
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