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ワカサギふ化放流ノート
皐月の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告(2012)
A blue-green alga observation report in Onjyaga-ike pond of the May 2012.
fig.00 皐月の雄蛇ケ池
fig.00 皐月の雄蛇ケ池

【皐月の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告(2012)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※02)。
よしさんは2011年07月及び12月に、雄蛇ケ池のアオコ現象の原因藍藻類を明らかにすることを目的に、 調査を実施・報告している(※07・※08)が、引き続き、5月の状況を把握するため、2012年05月17日(木)、 ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)藍藻類を採取し、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】
採取した池水を検鏡したところ、以下の藍藻類が観察された。
■ミクロキスティス エルギノーザ Microcystis Aeruginosa(fig.01)
池水の「見た目アオコ指標」は、レベル1程度(※04)で、透視度は、約3.0mであった。

fig.01 ミクロキスティス
fig.01 ミクロキスティス エルギノーザ Microcystis Aeruginosa

【考察】
ソウギョ放流に起因する雄蛇ケ池のアオコ現象は、水温の高い夏季を中心に毎年恒常化している(※05・※07)。
アオコ現象の原因藍藻類は、冬季〜春季に消滅すると考える人もあるだろう。

本報と同日時・同場所で、「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」を調査したところ、 直径450〜550〜600〜650μm程度と比較的大型のプランクトン、ボルボックス(原生動物)が優占しており、 ワムシ等小型種の個体数は僅少であった(※09)。
従って、桟橋附近の透視度は、約3.0mと高いものであった。
水面を目視する限り、藍藻類は簡単に確認できず、顕微鏡下で観察され、群体も少数ながら、 ミクロキスティス エルギノーザ(fig.01)は、消滅していないことが明らかになった。

藍藻類が異常繁殖し、アオコ現象を引き起こすためには、繁殖に適した高水温と栄養塩が 不可欠であることから、今季の雄蛇ケ池におけるアオコ現象の行方は、ソウギョの排出する糞塊総量の 多寡(藍藻類の栄養塩として働く)に因ると考えられる。

雄蛇ケ池で同日採取した、魚類餌料プランクトン(※09)、及び同日観察した水辺の植生(※10)については、観察結果を別途報告している。

【謝辞】
藍藻類調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。 

【参考文献】
※01 藤田善彦・大城 香(1993):「ラン藻という生きもの」第2刷,50-51pp,東京大学出版会,\1648
※02 よしさん(1996〜2012):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
※03 渡辺眞之(2007):『日本アオコ大図鑑』159pp,誠文堂新光社,\6000+税
※04 よしさん(2008):「見た目アオコ指標と指標写真」http://wakasagi.jpn.org/
※05 よしさん(2010):「アオコ現象連続発生の千葉県雄蛇ケ池」http://wakasagi.jpn.org/
※06 よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告」.http://wakasagi.jpn.org/
※07 よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
※08 よしさん(2011):「師走の雄蛇ケ池における、藍藻類観察報告(2011)」http://wakasagi.jpn.org/
※09 よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」.http://wakasagi.jpn.org/
※10 よしさん(2012):「ソウギョはクヌギも食べている(その2)」.http://wakasagi.jpn.org/

採取:2012年05月17日(木)11:30 雄蛇ケ池(千葉県東金市)塚本ボート桟橋にて
 天候○ 気温25.0℃ (at12:00 tanaka) 水温24.2℃ 満水 水色クリアー(アオコ現象レベル1)
 検鏡:2012年05月19日(土)〜25日(金)
 発表:2012年05月27日(日) 前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0001 雄蛇ケ池
転載許可: 「雄蛇ヶ池バスフィッシングガイド」 に本稿転載を許可します。よしさん。

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