【雄蛇ケ池のミジンコワムシ(2012)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※03)。
2012年07月15日(日)、ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し、
現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡したところ、ミジンコワムシ Hexarthra mira を観察した。
ミジンコワムシ(fig.01-04)に被甲はなく、剛毛のある6本の腕のうち、
長い2本の腕はすぐにわかるが、他の4本の腕は顕微鏡の焦点を変えて探さないと見えづらい。
逆三角形の特異な体も変であるが、和名も変で、ミジンコなのかワムシなのか紛らわしいが、ワムシは
「輪毛動物」「車輪虫」とも言われる。
ワムシのワムシたる所以は「頭部に繊毛域=輪毛器(Wheel organ)を備えていることが特徴」と世界的権威鈴木 實博士も
述べられるように(7pp・※04)、本報ミジンコワムシの頭部にも、繊毛が見えている(fig.01・上部)。
ミジンコワムシ(fig.01-04)の分布は、群馬県赤谷湖・三名湖・鳴沢湖・鮎川貯水池(※01)や、
瀬戸内海周辺の溜池(※02)、茨城県牛久沼(※08)等から報告され、有機質の多い水域の夏季に出現することの多い普通種とされ、
中華人民共和国(※05)、韓国(※02)、ドイツ(※07)、ブラジル(※10)、でも観察されている。
【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】
(※01)五味禮夫(1980):『群馬の湖沼』巻末6pp,同21pp,同28pp,148pp,上毛新聞社出版局(前橋), \1600
(※02)水野寿彦(1992):『水野寿彦私のスケッチ画集第U部』23pp,192pp,トンボ出版(大阪), \3800
(※03)よしさん(1996〜2012):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※04)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※05)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※06)田中正明(2002):ミジンコワムシ『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』156-157pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※07)RUDIGER RUDOLF(2004):Hexarthra mira「WELCOME TO THE HOMEPAGE OF RUDIGER RUDOLF」http://www.cladocera.de/rotifera/taxonomy/hex.html
(※08)よしさん(2007):「牛久沼のミジンコワムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県雄蛇ケ池のミジンコワムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)JUAN CARLOSJARAMILLO-LONDONO 他(2010):「Interaction between Hexarthra intermedia(Rotifera) and Bosmina longirostris
(Cladocera):a case of opportunistic nutrition or interference competition?」http://ecologia.icb.ufmg.br/~rpcoelho/art_pdf/art_72a.pdf
(※11)よしさん(2012):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2012):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※13)よしさん(2012):「千葉県雄蛇ケ池における藍藻類の変遷(2006〜2012)」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)よしさん(2012):「古典籍で味わう雄蛇ケ池のハンゲショウ(三白草)」http://wakasagi.jpn.org/
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