検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.02)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
【考察】
先ず、分野の定番書『原生動物図鑑』(※01)の第3目ユーグレナ類を参照するが、本個体と類似する図及び
記述が見当たらない(240-266pp)。
韓国の報文 Jun Tae Kim et alの「Floristic and Taxonomic Accounts of the Genus Euglena(Euglenophyceae)from Korean Fresh Waters」(※04)
に「16 Euglena oxyuris Schmarda」があり、その説明と図(fig.13A-13B)は、
本個体と近似している(184-186pp)。
次に、『日本淡水動物プランクトン検索図説』(※05)のミドリムシ目にあたるが、本個体と類似する図及び
記述が見当たらない(392-427pp)。
『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』(※06)の図版5(原生動物)の14図に示されたユーグレナ
Euglena oxyuris Schmarda var. charkowiensis (SWIRENKO) CHU (和名なし)に似る(23pp)。
「細胞は130−200μmの大型のミドリムシ」と説明され(22pp)、本個体の細胞は150μmであり(fig.01-fig.02)、
また「大きな棒状のパラミロンを2個持つ。細胞の後端は短く尖る。」は、説明通りである(fig.01-fig.02)。
上記から、本種は、原生動物門第1亜門第1綱第6目ミドリムシ科の、Euglena oxyuris Schmarda var. charkowiensis (SWIRENKO) CHU (和名なし)
と同定した。
ユーグレナ等の原生動物の観察結果から、保台ダム貯水池の貯水は、徐々に富栄養化の傾向にあると考察される。
【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)猪木正三(1981):ユーグレナ目『原生動物図鑑』,816pp,講談社,東京, \25800
(※02)よしさん(1996〜2012):保台ダム「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)Michael D. Guiry(1996〜2012):「Euglena oxyuris var. charkoviensis (Svirenko) P.Bourrelly」
Catalogo de plantas e fungos do Brasil,
http://www.algaebase.org/search/species/detail/?species_id=30517,
(※04)Jun Tae Kim et al(1998):「Floristic and Taxonomic Accounts of the Genus Euglena(Euglenophyceae)from Korean Fresh Waters」
Algae vol13(2):173-197pp,1998 http://myalgae.org/thesis_file/1224564110.pdf
(※05)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※06)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※07)よしさん(2007):「牛久沼のミドリムシ」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2012):「千葉県保台ダム貯水池の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2012):「千葉県金山ダム貯水池の動物プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2012):「千葉県金山ダム貯水池の植物プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
|