検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.03)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
【考察】
観察したコガタツボワムシは、変異の大きい、Brachionus angularis var.angularis と思われ、
「分布は全国に普通」(※04)とされる。
しかし、『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』(※05)の図版42(輪虫類)の1〜2及び6図に示されたコガタツボワムシ
Brachionus angularis Gosse とは、前縁中央の1対の小刺状突起の長さ・深さ・窪みの形状が相違する(100-101pp)。
同書図版42(輪虫類)の3〜5図に示されたトウヨウコガタツボワムシ(新称) Brachionus angularis orientalis SuDzuki
に前縁が似るものの、側縁の角張りは11図のカドハリコガタツボワムシ(新称) Brachionus angularis f. pseudokeikoa SuDzuki
にやや似た傾向がある。
コガタツボワムシ Brachionus angularis は、イギリスの湖・池・運河・汽水にも生息する(※01・50-51pp)が、
『A Key to the British Freshwater Planktonic Rotifera』(※01)の42図(fig.42, 51pp)a-b とはロリカの
形状が相違し、卵の形状(fig.42, 51pp, c)も相違する。
本稿における同定は、コガタツボワムシ Brachionus angularis としておく。
人造湖であるため、水位変動が激しく、水際の多くが絶壁で水生植物の少ない環境に特徴をもつ
豊英湖で、自然ふ化する魚類がいるなら、コガタツボワムシは全魚種共通の仔魚段階の優良餌料となろう。
【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)Rosalind M Pontin(1978):『A Key to the British Freshwater Planktonic Rotifera』
Scientific Publication No.38, 178pp,Freshwater Biological Association(cumbria UK),£3.50,
(※02)よしさん(1996〜2012):豊英湖「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※04)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※05)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※06)よしさん(2006):「三島湖の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2012):「千葉県豊英湖の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
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