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ワカサギふ化放流ノート
千葉県豊英湖のコガタツボワムシ
Brachionus angularis of the toyofusa reservoir, chiba pref.
【千葉県豊英湖のコガタツボワムシ】
豊英湖(千葉県君津市)は、1969(昭和44)年に完成した、大規模な貯水池(潅漑用・工業用水用)である(※02)。
2012年08月30日(木)、豊英湖(木和田橋)でプランクトンを採取し、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したところ、コガタツボワムシ Brachionus angularis を観察したので報告する。

【結果】

fig.01 コガタツボワムシ
fig.01 コガタツボワムシ Brachionus angularis
fig.02 コガタツボワムシ
fig.02 コガタツボワムシ
Brachionus angularis
fig.03 コガタツボワムシ
fig.03 コガタツボワムシ
Brachionus angularis
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.03)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。

【考察】
観察したコガタツボワムシは、変異の大きい、Brachionus angularis var.angularis と思われ、 「分布は全国に普通」(※04)とされる。
しかし、『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』(※05)の図版42(輪虫類)の1〜2及び6図に示されたコガタツボワムシ Brachionus angularis Gosse とは、前縁中央の1対の小刺状突起の長さ・深さ・窪みの形状が相違する(100-101pp)。
同書図版42(輪虫類)の3〜5図に示されたトウヨウコガタツボワムシ(新称) Brachionus angularis orientalis SuDzuki に前縁が似るものの、側縁の角張りは11図のカドハリコガタツボワムシ(新称) Brachionus angularis f. pseudokeikoa SuDzuki にやや似た傾向がある。

コガタツボワムシ Brachionus angularis は、イギリスの湖・池・運河・汽水にも生息する(※01・50-51pp)が、 『A Key to the British Freshwater Planktonic Rotifera』(※01)の42図(fig.42, 51pp)a-b とはロリカの 形状が相違し、卵の形状(fig.42, 51pp, c)も相違する。
本稿における同定は、コガタツボワムシ Brachionus angularis としておく。

人造湖であるため、水位変動が激しく、水際の多くが絶壁で水生植物の少ない環境に特徴をもつ 豊英湖で、自然ふ化する魚類がいるなら、コガタツボワムシは全魚種共通の仔魚段階の優良餌料となろう。

【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)Rosalind M Pontin(1978):『A Key to the British Freshwater Planktonic Rotifera』
Scientific Publication No.38, 178pp,Freshwater Biological Association(cumbria UK),£3.50,
(※02)よしさん(1996〜2012):豊英湖「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※04)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※05)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※06)よしさん(2006):「三島湖の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2012):「千葉県豊英湖の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2012年08月30日(木)13:00 豊英湖木和田橋 天候◎● 水温:29.8℃
水位:減水5m 水の透明度:不良 検鏡撮影:2012年09月05日(水)〜09日(日)
発表:2012年09月13日(木)前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0055 豊英湖

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