【目的】 漁業権設定の放棄された豊英湖では、遊漁者用にヘラブナを放流しているが、法令に基づく魚類増殖義務がないこともあり、 魚類資源管理という概念は弱く、魚類餌料プランクトン調査は、過去に見当たらないようだ。 よしさんは、豊英湖の夏季の魚類餌料プランクトン環境を明らかにすることを目的に、 2012年08月30日(木)、豊英湖(木和田橋)でプランクトンを採取し(fig.00 写真)、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。
【結果】
【考察】 小糸川水系豊英湖は、5mほど減水しており、下流に位置する三島湖の減水は更に著しい状況であった。 夏季の時節柄、予測通り大型の動物プランクトンが観察された一方で、小型のワムシ類も繁殖が確認され、 2012年夏季の豊英湖は、一般論で良好な餌料プランクトン環境にあると見られる。
しかし、豊英湖の魚類相を見渡すと、動物プランクトンを主たる餌料として利用する魚種(稚魚・未成魚)は限られ 動物プランクトンを育てる豊英湖の生産力は、食物連鎖面で結果的に大部分が無駄になっている状況と推測される。 今回の調査では、有力な植物プランクトンが種と量ともに観察できなかったことから、豊英湖に放流されたヘラブナの主たる餌料は デトリタス(fig.12)と考えられ、厳しい餌料プランクトン環境にあると考察される。
【参考文献】よしさん架蔵書 (※01)よしさん(1996〜2012):豊英湖「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com (※02)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税 (※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900 (※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975 (※05)よしさん(2006):「三島湖の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/ (※06)よしさん(2012):「千葉県豊英湖のコガタツボワムシ」http://wakasagi.jpn.org/