スポンサードなし、よしさんの自費研究成果です

ワカサギふ化放流ノート
千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2013年夏季)
Fish bait charges plankton survey in the onjyaga-ike pond of the Summer(2013).
fig.00 雄蛇ケ池(ボートハウスツカモト桟橋)
fig.00 雄蛇ケ池(ボートハウスツカモト桟橋)

【千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2013年夏季)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※01)。

【目的】
漁業権設定のなされていない雄蛇ケ池では、法令に基づく魚類増殖義務がないこともあり、 魚類資源管理という概念は浸透しておらず、ましてや、雄蛇ケ池で自然産卵され、 ふ化した仔稚魚用の餌料プランクトン調査は、過去に見当たらないようだ。
よしさんは近年、仔稚魚用餌料プランクトン環境を明らかにすることを目的に、 雄蛇ケ池のプランクトン調査を継続実施・報告してきた(※05〜※09)が、 2013年07月14日(日)、毎年恒例の雄蛇ケ池クリーンアップ大作戦(ゴミ拾い)に参加した機会をとらえ、 夏季の状況を把握するため、ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し(fig.00 写真)、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。

【結果】

fig.01 ケンミジンコ属
fig.01 ケンミジンコ属
Cyclopoida sp.
fig.02 ゾウミジンコ
fig.02 ゾウミジンコ
Bosmina longirostris
fig.03 ヒメネコゼミジンコ
fig.03 ヒメネコゼミジンコ
Ceriodaphnia sp.
fig.04 オオアタマミジンコ
fig.04 オオアタマミジンコ
Diaphanosoma dubia
MANUILIOVA
fig.05 フクロワムシ
fig.05 フクロワムシ
Asplanchna priodonta
fig.06 ハネウデワムシの一種
fig.06 ハネウデワムシの一種
Polyarthra remata
fig.07 ツメナガネズミワムシ
fig.07 ツメナガネズミワムシ
Trichocerca cylindrica
fig.08 ボルボックス属
fig.08 ボルボックス属
Volvox sp.(原生動物)
fig.09 ファークス属
fig.09 ファークス属
Phacus sp.(原生動物)
fig.10 ツノオビムシ
fig.10 ツノオビムシ Ceratium hirundinella(渦鞭毛虫)
検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.10)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果では、多様なプランクトンが観察された。
藍藻類を除いて、優占種と呼ぶほどの種は出現しなかったが、多く見られた種は、ケンミジンコ属(fig.01)・ヒメネコゼミジンコ(fig.03)・ツノオビムシ(fig.10)であった。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物3種が観察された。
同日調査した「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2013年夏季)」(※10)、は別途報告している。

【考察】
プランクトンを採取した桟橋附近も、アオコ現象が拡散しており、 国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」のレベルをあてはめると、レベル3であった(※10)。
2013年夏季の雄蛇ケ池は、良好な餌料プランクトン環境にあると見られる。

しかし、雄蛇ケ池の魚類相を見渡すと、動物プランクトンを主たる餌料として利用する魚種(稚魚・未成魚)は限られ 、植物プランクトン⇒動物プランクトン⇒× の箇所で食物連鎖が極端に狭まり、辛うじてブルーギル(主として全長≒50mm未満まで) ・アメリカザリガニにより動物プランクトンが摂餌され、⇒魚食魚(ナマズ・ライギョ・オオクチバス)に利用される状況と推測される。
水生植物が壊滅的状態にあり、池中に何もない皿池に変化した雄蛇ケ池では、雑食性魚類のマブナ(キンブナ・ギンブナ)・モツゴ(クチボソ) 等が姿を消し(漁業権なし=魚類増殖義務がない=放流はなされない)、それを餌料とする鳥類のサギ(アマサギ・コサギ・チュウサギ・アオサギ)・カワセミ等も激減し、 ブルーギル・アメリカザリガニ・オオクチバスを狙うカワウが数羽飛来する状況が、今後も続くのではあるまいかと残念だ。

【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。 

【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)よしさん(1996〜2013):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※05)よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年師走)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2013):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2013年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2013年07月14日(日)07:30 天候◎○ 気温:31.6℃ (at10:30 tanaka) 水温:29.6℃
水位:満水 水の透明度:不良・アオコ現象 検鏡撮影:2013年07月29日(月)〜08月11日(日)
発表:2013年08月18日(日)前・牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイント0001 雄蛇ケ池

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