検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.10)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果では、多様なプランクトンが観察された。
藍藻類を除いて、優占種と呼ぶほどの種は出現しなかったが、多く見られた種は、ケンミジンコ属(fig.01)・ヒメネコゼミジンコ(fig.03)・ツノオビムシ(fig.10)であった。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類3種・原生動物3種が観察された。
同日調査した「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2013年夏季)」(※10)、は別途報告している。
【考察】
プランクトンを採取した桟橋附近も、アオコ現象が拡散しており、
国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」のレベルをあてはめると、レベル3であった(※10)。
2013年夏季の雄蛇ケ池は、良好な餌料プランクトン環境にあると見られる。
しかし、雄蛇ケ池の魚類相を見渡すと、動物プランクトンを主たる餌料として利用する魚種(稚魚・未成魚)は限られ
、植物プランクトン⇒動物プランクトン⇒× の箇所で食物連鎖が極端に狭まり、辛うじてブルーギル(主として全長≒50mm未満まで)
・アメリカザリガニにより動物プランクトンが摂餌され、⇒魚食魚(ナマズ・ライギョ・オオクチバス)に利用される状況と推測される。
水生植物が壊滅的状態にあり、池中に何もない皿池に変化した雄蛇ケ池では、雑食性魚類のマブナ(キンブナ・ギンブナ)・モツゴ(クチボソ)
等が姿を消し(漁業権なし=魚類増殖義務がない=放流はなされない)、それを餌料とする鳥類のサギ(アマサギ・コサギ・チュウサギ・アオサギ)・カワセミ等も激減し、
ブルーギル・アメリカザリガニ・オオクチバスを狙うカワウが数羽飛来する状況が、今後も続くのではあるまいかと残念だ。
【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)よしさん(1996〜2013):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※05)よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年師走)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2013):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2013年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
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