検鏡し撮影した顕微鏡写真を、上記に示す(fig.01-fig.11)、なお背景のグリッドは100μm間隔である。
今回のプランクトン調査結果では、多様なプランクトンが観察された。
藍藻類を除いて、優占種はツノオビムシ(fig.08)で、次に多く見られた種は、ヒメネコゼミジンコ(fig.04)・トゲツボカムリ(fig.09)であった。
逆に少数派はテマリワムシ(fig.06)であった。
まとめると、ミジンコ類4種・ワムシ類2種・原生動物3種が観察された。
同日調査した「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2014年夏季)」(※12)、「千葉県雄蛇ケ池におけるゾウミジンコ属の卵鞘(休眠卵)」(※13)及び、
「千葉県雄蛇ケ池のトゲツボカムリ」(※14)は別途報告している。
【考察】
プランクトンを採取したボートハウスツカモト桟橋附近のアオコ現象は、
国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」のレベルをあてはめると、レベル2であった。
2014年夏季の雄蛇ケ池は、良好な餌料プランクトン環境にあると見られる。
雄蛇ケ池の水中は、2006年02月に放流されたソウギョ(当時TL300mm×300尾)→(2014年07月推定TL1500mm)により、
水生植物が壊滅的状態にあり、池中に何もない皿池に変化している。
雑食性魚類のマブナ(キンブナ・ギンブナ)・モツゴ(クチボソ)及びヘラブナは、産卵基質・生育場所・餌場・隠れ場に利用していた
水生植物の衰退と共に減少し、水深4mまでの水中を魚より上手に潜水できるカワウが飛来する状況に至って、とどめを刺され姿を消した。
今や、雄蛇ケ池の魚類相は、ナマズ・ライギョ・オオクチバス・ブルーギルの肉食魚類と草食魚のソウギョ、
甲殻類はモクズガニ・アメリカザリガニ、二枚貝類はドブ貝(ヌマガイ)・タイワンシジミ、爬虫類はミシシッピアカミミガメとなり、
動物プランクトンを主たる餌料として利用する魚種(稚魚・未成魚)や時機は限られ、通年資源の生かされる安定した食物連鎖にないことは
残念だ。
【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)よしさん(1996〜2014):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※02)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※05)よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年師走)」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2012):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2013):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2013年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2014年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※13)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池におけるゾウミジンコ属の卵鞘(休眠卵)」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池のトゲツボカムリ」http://wakasagi.jpn.org/
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