【千葉県雄蛇ケ池のトゲツボカムリ】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池である(※02)。
2014年07月13日(日)、ボートハウスツカモト桟橋でプランクトンを採取し、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察した結果は、別途報告している(※14〜※16)。
本種はアメーバの一種で、たびたび出現し、北海道網走湖・茨城県牛久沼・茨城県道仙田・千葉県亀山湖・千葉県笹川湖・千葉県雄蛇ケ池・千葉県尼ケ台池・千葉県保台ダム貯水池・
千葉県金山ダム貯水池における、筆者の観察事例は以前報告し(※05〜※13)、詳細は「千葉県笹川湖のディフルギア属」(※08)として報告した。
本報では、『西蔵水生無脊椎動物』(※01)の図版VIIIの54a54bに示された図(298pp)・本文(67pp)、
及び『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』(※04)の図版15(原生動物)の1に示されたカラー写真・本文(46-47pp)を併せ考察し、本種を、
Difflugia corona Wallich, 1864 、和名 ツボカムリ科トゲツボカムリ、中国名 冠砂殻虫と同定する。
文献と筆者の観察事例から、本種トゲツボカムリ Difflugia corona の分布は、北海道網走湖(144.°15E 44.°01N; 標高0.6m 気温マイナス12℃ 水温0℃=推定 ・※11)
・茨城県・千葉県尼ケ台池(140.°3E 35.°4N; 標高5.0m 気温35.1℃ 水温30.0℃ ・※09)
・中国大陸西蔵察隅 zayu 地域(28.°4E 97.°0N; 標高1550m 気温26℃ 水温28℃
及び 28.°3E 97.°0N; 標高1600m 気温24℃ 水温26.5℃ ・※01, 6pp, 原文)に広がることがわかる。
中国の座標のEとNは、NとEの誤りであろうが、本種は北緯28°〜44°・東経97°〜144°・標高0.6m〜1600m・
気温マイナス12℃〜35.1℃・水温(推定)0℃〜30.0℃の環境に適応している。
本種は有機汚濁の指標性を持ち、田中正明博士によれば、4段階評価のきれいな水(Os)の次、少し汚れた水(β-ms)に見られるとされる(※04)。
掲載写真背景のグリッドは100μm間隔である。
【謝辞】
プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】よしさん架蔵書
(※01)蒋燮治(1983):『西蔵水生無脊椎動物』第1版,vi+492pp,科学出版社(北京),5.80元
(※02)よしさん(1996〜2014):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com
(※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900
(※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975
(※05)よしさん(2006):「牛久沼(レンタルボートたまや沖)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※06)よしさん(2008):「雄蛇ケ池(余水吐前)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※07)よしさん(2008):「亀山湖(角柳)の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※08)よしさん(2010):「千葉県笹川湖のディフルギア属」http://wakasagi.jpn.org/
(※09)よしさん(2010):「千葉県尼ケ台池のプランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※10)よしさん(2011):「茨城県道仙田の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※11)よしさん(2012):「網走湖の動物プランクトン」http://wakasagi.jpn.org/
(※12)よしさん(2012):「千葉県保台ダム貯水池の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※13)よしさん(2012):「千葉県金山ダム貯水池の動物プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※14)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2014年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※15)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2014年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/
(※16)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池におけるゾウミジンコ属の卵鞘(休眠卵)」http://wakasagi.jpn.org/
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