【目的】 漁業権設定のなされていない雄蛇ケ池では、法令に基づく魚類増殖義務がないこともあり、 魚類資源管理という概念は浸透しておらず、ましてや、雄蛇ケ池で自然産卵され、 ふ化した仔稚魚用の餌料プランクトン調査は、過去に見当たらないようだ。 よしさんは近年、仔稚魚用餌料プランクトン環境を明らかにすることを目的に、 雄蛇ケ池のプランクトン調査を継続実施・報告してきた(※05〜※15)。 2015年07月12日(日)、毎年恒例の雄蛇ケ池クリーンアップ大作戦(ゴミ拾い)に参加した機会をとらえ、 夏季の状況を把握するため、ボートハウスツカモト桟橋で(ボートを使用せず)プランクトンを採取し(fig.00 写真)、 現地でただちにホルマリン固定の上、持ち帰り検鏡観察したので報告する。
【結果】
【考察】 プランクトンを採取したボートハウスツカモト桟橋附近のアオコ現象は、 国立環境研究所の提唱した「見た目アオコ現象」のレベルをあてはめると、レベル1であった。 2015年夏季の雄蛇ケ池は、良好な餌料プランクトン環境にあると見られる。
近年同時期比(2012年07月24日、2013年07月14日、2014年07月13日)で、 2015年夏季(07月12日)は、雄蛇ケ池における動物プランクトンの常連種であるケンミジンコ・ゾウミジンコが見られず、 また、オオアタマミジンコも観察されなかった(2015年夏季プランクトン型の特徴02)。 それら小中型ミジンコ類が見られなかった理由は不明である。
前年に続き、雄蛇ケ池の魚類相は、ナマズ・ライギョ・オオクチバス・ブルーギルの肉食魚類と草食魚のソウギョ、 甲殻類はモクズガニ・アメリカザリガニ、二枚貝類はドブ貝(ヌマガイ)・タイワンシジミ、爬虫類はミシシッピアカミミガメが見られる。 動物プランクトンを主たる餌料として利用する魚種(稚魚・未成魚)や時機は限られ、通年、資源の生かされる安定した食物連鎖・魚類構成にないことは 残念だ。
【謝辞】 プランクトン調査のため、桟橋利用を快諾されたボートハウスツカモトに感謝します。
【参考文献】よしさん架蔵書 (※01)よしさん(1996〜2015):雄蛇ケ池「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com (※02)鈴木 實(1999):『車輪虫類同定学』1-151pp,三省堂(東京), \3800+税 (※03)水野寿彦・高橋永治(2000):『日本淡水動物プランクトン検索図説』1-551pp,東海大学出版会(東京), \18900 (※04)田中正明(2002):『日本淡水産動植物プランクトン図鑑』viii+584pp,名古屋大学出版会(名古屋市), \9975 (※05)よしさん(2010):「雄蛇ケ池でふ化した仔稚魚用、餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/ (※06)よしさん(2010):「師走の雄蛇ケ池における魚類餌料プランクトン調査報告(2010)」http://wakasagi.jpn.org/ (※07)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/ (※08)よしさん(2011):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2011年師走)」http://wakasagi.jpn.org/ (※09)よしさん(2012):「皐月の雄蛇ケ池における、魚類餌料プランクトン(2012)」http://wakasagi.jpn.org/ (※10)よしさん(2012):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2012年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/ (※11)よしさん(2013):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2013年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/ (※12)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池の魚類餌料プランクトン(2014年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/ (※13)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2014年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/ (※14)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池におけるゾウミジンコ属の卵鞘(休眠卵)」http://wakasagi.jpn.org/ (※15)よしさん(2014):「千葉県雄蛇ケ池のトゲツボカムリ」http://wakasagi.jpn.org/ (※16)よしさん(2015):「千葉県雄蛇ケ池のアオコ現象(2015年夏季)」http://wakasagi.jpn.org/